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天守の木造化、議論再燃

2017年4月15日 紙面から

名古屋城の近くで語り掛ける名古屋市長選の候補者

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 名古屋城天守閣の木造復元を前進させるか、いったん立ち止まるか−。二十三日投開票の名古屋市長選では、名古屋のシンボルを巡る有力二候補の主張が、数ある争点の中でも真っ向対立。市民の一票が、お城の将来を左右する可能性もある。

 「木造で、千年続く宝にしよまい。いま見直せば、事業者の公募のやり直しで時間がかかり、木材も手に入らなくなる。コンクリートのお城のままですよ」

 名古屋城正門前で散り始めた桜の下。現職の河村たかしさん(68)が観光客らに熱い思いを語り掛けた。

 市議会で二年近い議論を経て、告示の約二週間前に基本設計費などの予算がようやく認められた。当選すれば即、事業者と基本協定を結ぶ考えで、今回の選挙は「最後の関門」。九日の告示以降、欠かさず城の正門前で演説を続ける。陣営幹部は「ここを乗り越えれば、着工へ一気に前進する」と鼻息荒い。

 一方、前副市長の岩城正光(まさてる)さん(62)は選挙ポスターに「ストップ! 木造化505億円」の文字が躍る。最大五百五億円の総事業費を「無駄遣い」と指摘。入場料収入で賄うという市の収支計画にも疑問を呈し、「市長になったら止めることもある」と待ったをかける。

 ただ、予算を認めた主要会派の市議の支援を受けている事情もあり、「木造復元自体に反対ではないが、慌てる必要はない」というのが持論。市議会の議論が長引いて完成目標が二〇二二年十二月にずれ込んだため、街頭演説では「東京五輪に合わせて完成させ、観光客を呼び込むつもりだったはずだが、今の計画では天守閣がないお城になってしまう」と再考を訴える。

 市民の意見もさまざまだ。本丸御殿の復元工事に携わった名古屋市緑区の大工棟梁(とうりょう)、徳田恵則(よしのり)さん(66)は「工事は重要な技術伝承の場。若い大工が実践で技を磨く機会となる」と早期着工を心待ちにする。同市中川区の無職池内勝さん(73)は小学生のころ、現天守閣の再建に、お年玉を寄付したことを覚えている。将来的には木造復元に賛成だが「知恵を使って長期計画でやれば、もっと安くできるのでは。立ち止まって市民の声を聞き、昭和の再建時のように、皆で思いを共有できるお城にしてほしい」と話す。

 (市長選取材班)

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