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<迫る>(中)市長像

2017年4月15日 紙面から

 名古屋市長選で舌戦を繰り広げる河村たかしさん(68)、岩城正光(まさてる)さん(62)の有力二候補。素顔や本音に迫る二回目は、思い描く「市長像」を中心に語ってもらった。少しずつ、口も滑らかに。=上から届け出順

◆河村さん 孤独耐え 納税者代弁

焼酎の瓶には座右の銘「夢・負けるものか」=千種区北千種で

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 好物のチーズカリカリの二皿目が運ばれてきたころ、八年務めた「市長」の仕事とは何なのかを真剣に語り始めた河村さん。実績はたくさんあると思いますが。

 「そりゃ、市民に二億四千万円をお返ししたことでしょう」。給与を三分の一以下の年八百万円にして、退職金も廃止した。

 そもそも、どこからでてきた発想だろう。初当選した二〇〇九年の市長選でのこと。「地方議員の報酬は市民並みが世界の常識だと演説していた時、変なおっさんが寄ってきて『偉そうなことを言うなら、自分がやれ』と言うんだわ。それで…」。え、売り言葉に買い言葉? 「ものには弾みということがあるんだわ」

 主要公約の市民税減税には、最近「金持ち優遇」と批判も多いですが。「税金減らして怒られては、政治なんてやれませんわ。『ベロ出しチョンマ』を知らんのか」。江戸時代、厳しい年貢の取り立てに苦しむ農民のため、名主が将軍に直訴したが、幼子ともども、はりつけになった物語だ。「税金減らすというのは、どえりゃあことなんです」

 市議会や職員との関係もなかなか思うようにいかないようで、市役所で孤独を感じることも多いでしょ。「孤独に決まっとる。でも、納税者のための政治をやるには、やらにゃいかん。大変だといっても、古紙屋の時と比べると幸せだって」。油まみれになって、未明まで機械のメンテナンスに追われた日々。八年間、叫び続けた「庶民革命」の原点だ。

 ところで聞きにくいのですが、元部下との選挙ってやりにくいのでは。「歴史的にいくらでもあります。例えば壬申の乱」。六七二年、天智天皇の弟と子の間で起きた骨肉の争いだ。ん? 調べてみると、反乱を起こした弟側が、政権に不満を持つ豪族を味方に付け、クーデターを成功させているのだが…。

◆岩城さん 行政 チームワークで

ウイスキーのボトルには大きく「いわき」と=中区栄3で

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 ウイスキーが回り始めたのか、熱っぽく早口で話し始めた岩城さん。副市長への就任、解任、そして「選挙モンスター」といわれる河村さん相手の戦い。いろいろな決断の瞬間があったんでしょう。

 「何か理不尽な思いがしたんだよね。副市長を四年間全うしてたら、市長選に立候補してなかったと思う」。河村さんに請われて副市長になったのは二〇一三年六月。解任されるまでの三年間、近くから河村さんを見てきて、本当のところはどうでしたか。

 「トップダウンで疲弊する職員、思い付きで停滞する行政。そばにいた以上、見過ごせないよ。結局、最後のつけは市民に戻ってくるから」。つまり身をていするということか。派手なイントロで、客が沢田研二の「勝手にしやがれ」を歌い始めた。

 やりとりを聞いていたママの和泉佐智代さんが「先生は熱血漢。一生懸命なところがいいんだよね」とほほ笑む。「だけどね、市長の仕事も大変なんだよね」。近くで見ていたからこそ、分かる部分もあるらしい。「議会の利権を見抜き、職員をまとめる。時には孤独になることもある」。だからこそ、市長になったら三人の副市長をブレーンに置き、所管が違っても全員で課題を把握する体制をつくりたいという。「行政の仕事はチームワーク。一人じゃできないから、みんなで一緒にやるんだよ」。つい声が大きくなり、周囲の客が振り返った。「市長選候補者」に気付き、がっちり握手。

 副市長時代にやり残した仕事もある。子ども食堂と学童保育の連携は、ぜひとも実現したいそうだ。「僕は政治家には向かないよ。でも、行政マンとしては自信がある。市長の仕事をやらせてほしい」。身ぶり手ぶりを交え「市長に必要なのはね、責任を引き受ける覚悟だよ」と熱弁。水割りでちょっとクールダウンしてください。

 (市長選取材班)

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