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住みやすく/商店街再生/耐震補強を 有権者の思いは

2017年4月10日 紙面から

ハローワークの前に並ぶ人たち=10日午前、名古屋市中村区で

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 二百三十万都市のリーダーを決める名古屋市長選。論戦の街で有権者は何を思うのか、暮らしの現場を訪ねた。

 十日、中村区のハローワーク名古屋中。コートやジャンパーで肌寒さをしのぎ、開庁の午前八時半前から二十人が並んだ。

 西区の上野一彦さん(44)は二月に工事関係の仕事を辞めた。「夜中の十二時に仕事が終わって、午前三時からまた仕事という日もあった。限界だった」。透析が必要な母(70)と二人暮らし。早く次の職に就きたいが、条件に合う仕事がなかなか見つからない。

 「もっと余裕のある働き方ができる社会にしてほしい」。そう願いながら、候補者の訴えに耳を傾ける。

 キャンパスに教科書を取りに来た名古屋大医学部の中島美来さん(19)。十八歳選挙権が導入された昨年の参院選は「最初だし行ってみよう」と思って投票した。今回は有権者にとって、より身近な市長選。「住みやすい街にしてほしい」と注文する。

 告示日、九日の昼。中村区にある名古屋駅西銀座通商店街に日曜日のにぎわいはなかった。理髪店や中華料理店など数店が開いている以外、シャッター通りの様相。客がいない店で、五十代の店主がテレビのワイドショーを見ていた。選挙ポスターの代わりに目立つのは「入居者募集」の張り紙。天守閣や減税を巡る論戦が注目されそうな選挙だが、「商店街の再生を考えてほしい」と望んでいる。

 緑区の老人ホームに入居する小柳トシ子さん(85)は、施設の食堂でテレビを見ていた。「選挙カーの音も聞こえないし、選挙が始まったことも分からない」

 これまで投票を欠かしたことはなく、候補者の街頭演説にも耳を傾けた。今回も投票するつもりだが、足が弱くなり車いすの生活。演説を聞きに行くのが難しくなっても新聞などで訴えを読み、「みんなが苦しい思いをせずに暮らせる街に」との思いを票に託す。

 中区大須の十一階建て市営住宅。夕方、自治会長の藤岡義正さん(60)がごみ捨て場の掃除をしていた。築五十年ほど。震度6強以上で倒壊する恐れがある住宅だが、藤岡さんは対策の話を聞いていない。

 ごみ捨てに来た一人暮らしの女性(71)は「部屋の天井にもひびが入っている」。藤岡さんは「命にかかわる話。予算が必要でも耐震補強をして」と願うが、通り過ぎた選挙カーは候補者の名前を繰り返すだけで、政策や公約は聞こえてこなかった。

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