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8年間の「果実」冷静に見極めを

2017年4月10日 紙面から

 <解説> 国政復帰を迷った末、「市民へのご奉公」と三期目を目指す河村氏。では、これまでの二期八年に市民が寄せた「何かが変わるのでは」との期待は、どんな実を結んだのか。それを総括し、さらなる四年の市政のかじ取りを託すのかが最大の争点だ。

 市民税減税、地域委員会設置、議員報酬半減、そしてSLによる面白い街づくり…。議会や市役所を抵抗勢力に据え、民意を追い風に突破する河村流で次々に手を掛けた。ただ、続いているのは自身の年八百万円への給与削減に、5%減税。理想に邁進(まいしん)する政治家の志は、旧弊を打ち破る半面、時に軋轢(あつれき)や混乱を生む。

 全国的な景気回復に伴う所得向上で、市税収入は堅調。市の調査でここ十年、八割以上の市民が「住みやすい」と回答する土地柄で、政治、行政手腕の成否は見えにくい。大切なのは、庶民革命によって一人一人が何を実感できたのか。

 5%減税で家計は潤ったのか。それで身近な行政サービスは低下していないか。待機児童ゼロ宣言で、母親は働きやすくなったのか。最大五百五億円を投じるお城の木造復元は、市民の宝になるのか。

 「地方から日本を変える」と初当選した八年前、全国に政権交代風が吹いていた。市議会解散の住民投票と自らの出直し選を重ねた六年前は、地域政党ブーム。今回は、投票率が30%台となった四年前同様、かつてのような熱は、今のところない。

 ただそれは、単純明快なフレーズや対立構図だけに目を奪われず、経済で日本をけん引する二百三十万都市の代表を冷静に見極める好機でもある。東京−名古屋を結ぶリニア開業まで十年。将来を見据え、足踏みは許されない。

 有権者は訴えや人柄、実行力を見定め、一票を投じてほしい。関心の度合いは、各候補者の信任にかかわるだけに活発な論戦に期待したい。

 (社会部・岩崎健太朗)

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