• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

記事

<闘論>(3)名城天守閣の木造復元

2017年4月5日 紙面から

 市長選の立候補予定者による討論三回目のテーマは、名古屋城天守閣の木造復元。事業費最大五百五億円、約五十年にわたる大事業で市議会二月定例会で関連予算案が可決され、事実上のスタートを切った。しかし、事業費を入場料で賄うとした収支計画には、議会から「第三者機関で調査すること」などの付帯決議もついている。現職の河村たかし氏(68)、前副市長で弁護士の岩城正光(まさてる)氏(62)が、木造復元の意義や見通しなどを語った。

 (文中敬称略)

■意義は

 −なぜ木造復元か。

 河村 名古屋の自慢というか、精神的支柱をつくりたかった。熱田神宮もあるが、やはり名古屋はお城。コンクリートになり、みな失望している。この時代に千年大事にする物を造りたい。ニューヨーク、パリ、ロンドンに木造復元のポスターを張って名古屋に来てくれと。

 岩城 木造復元に反対ではないが、優先順位が違う。ナンバーワンに持っていく神経が分からない。市民にとって誇りになると思うが、前提として熊本城のように市民に愛着を持たれているのか。一番大きいのは財政的な問題。本物は残念ながら空襲で燃えてしまった。復元してもレプリカだ。市長は本丸御殿の障壁画模写は「偽物だ」と言っているが、同じではないか。

 −「本物」なのか。

 河村 天守閣には実測図があるから強烈な本物性がある。焼けた物を復元するのは、世界の人に強烈なイメージを与える。

 −市長は二〇二二年十二月完成にこだわっている。

 岩城 急ぐ理由が分からない。東京五輪の時に天守閣がない状態なのに、観光客を集められるのか。五輪まで天守閣を残し、その後に時間をかけて造ればよい。

 河村 議会に求められたから。順調にいけば、東京五輪の時に工事の様子が見られる。完成予定は変えない。(復元工事を許可する)文化庁に丁寧に頼まないといけない。

■収支・行程

 −復元したら入場者が倍になり、一時、年間五百万人近くになるという需要予測があるが。

 岩城 年三百六十六万の入場者を約五十年間も維持できるなんて、あり得るのか。夢物語を可能かのように言うこと自体、市長として市民への説明責任を果たしていない。

 河村 (改修後の)姫路城は収入が二〜三倍になっている。熱田神宮は年七百万人、東山動物園も年二百六十万人来ている。金利が安い時に必要な投資をすることが、(名古屋を盛り上げる)引き金になる。

 −税金投入は。

 河村 あり得ない。民営化してもうけるために、いろんなイベントをやればいい。みんなで努力する。

 岩城 市当局は「税金投入はあり得る」と言っている。

 河村 「万が一の場合」と言っているだけ。

 岩城 まるでばくちで、本当に無責任。全部市民にはね返り、(財政破綻した)北海道夕張市と同じ事態になる危険性がある。首長として五十年、百年先まで考えた責任ある市政を運営するべきだ。

 −いったんストップはあり得る?

 岩城 あり得る。文化庁が慎重なのに市民に「できる」としか言わないのは、首長の資質が問われる。収支計画は見直す。

 河村 責任を持って庶民の経済を盛り上げないといけない。名古屋城は五百億で千年持つ。どれだけの経済効果か。市民の超巨大な財産、誇りだ。

最新記事

記事一覧

なごや市長選新聞 なごや市長選新聞
新聞購読のご案内