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<庶民革命は今>(4) 「寄り添い」定着期待

2017年3月31日 紙面から

子どもの抱えるストレスについて話し合う子ども応援委のカウンセラーら=緑区で

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 朝のあいさつが響く緑区の大高中学校。「あっ、あの子いつもより早いね」。通用口の前に立つスクールカウンセラーの広田希代子さん(54)は、ほっとして同僚と顔を見合わせた。視線の先には、速足で登校してきた男子生徒。遅刻しがちで、学校生活で悩みを抱えていないか、気に留めていた。

 大高中は市内に十一校ある「なごや子ども応援委員会」の拠点校の一つ。教員と協働し、子どもの悩みに寄り添う臨床心理士や社会福祉士らが「常駐」する取り組みは、全国でも例がない。

 生徒に心理テストなどで異変が見つかり、教員から連絡を受けると、広田さんらが話に耳を傾けてみる。自身も、生徒の微妙な変化を見過ごさないよう校内を見回る。「教員だけで対応するのは限界がある。大きな戦力」。木全和代校長(57)はそう受け止めている。

 応援委は二〇一四年四月に発足した。前年の七月、南区の中学二年の男子生徒=当時(13)=がいじめを苦に自殺。河村たかし市長が直後の米ロサンゼルスの視察で、教員だけでなく、常勤カウンセラーが「対等な立場」で問題解決に当たる現地の仕組みを知ったのがきっかけだった。

 帰国後ただちに、岩城正光副市長(当時)を事務局長とするプロジェクトチームを設置。米国でカウンセラーをしていた日本人経験者に助言を求め、短期間での始動にこぎつけた。

 当初は教員とカウンセラーらの「現場の壁」や、情報共有の不足といった問題点が目立った。だが、三年が経過し、徐々に浸透。子ども自身の悩みだけでなく、保護者や教員からも相談が寄せられ、一五年度は初年度の三倍の七千件に対応。一六年度は一万件を超える勢いだ。

 八年前の初当選のころから掲げていた公約と違い、いわば「ひらめきの施策」。だが、同様の仕組みを模索する文部科学省の事務方トップが視察に訪れるなど、今や名古屋の看板の一つになった。

 それでも市長の思いは尽きない。一五年の市内の中学生の自殺を受け、現在三十六人の常勤カウンセラーを百十中学校すべてに配置する目標を四年前倒し、一九年度に設定。一七年度も人員を増強し、前年度を二億円超上回る九億五千万円弱の予算を投じる。

 さらに、新年度予算編成に当たっては「いじめだけでなく、勉強ができないなどの悩みや、不登校の家庭の問題にも対処が必要」として、民間事業者を活用した新たな仕組みを検討。しかし、突然のことに「気持ちは分かるが、十分な準備もなく難しい」「どこまで手を広げるのか」などと事務方と折り合わず、見送られた。

 応援委に対しては、普段は市長に批判的な市議や市幹部からも肯定的な声は少なくないが、市教委幹部の一人はこう注文する。「思い切った施策で発想もいい。一過性でなく、末永く定着させるには、トップが根気よく、職員と意思疎通しながら進めていくことが重要だ」

◆河村市長ひと言

 「子どもが元気づけられました」といった声もあり、第一段ロケットは成功した。現場の教員も、応援委の良さを理解してくれているようですわ。

 ただ、子どもと保護者の悩みはすごい。現場の話を聞くと、人数が少なすぎ。成績に悩む子どもを手厚く励ますのが教員の仕事ですが、その仕組みが十分じゃない。だから、安住することなく、さらに進化させる必要がある。いじめ以外に成績や発達障害とか、そういう悩みに手厚く個別対応できるようにするのが今後のテーマですね。

◆候補者にこれが聞きたい 読者の質問を募集

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