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<庶民革命は今>(2) 本質的な議論どこへ

2017年3月29日 紙面から

市長選を前に、市議会主要各派の賛成で名古屋城天守閣の木造復元の予算案は可決された=23日、名古屋市議会で

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 念願がかない、ほころんだ口元を、引き締めた。「議会改革はちゃんとやっていかな。報酬の問題も」。名古屋城天守閣の木造復元の関連予算案が市議会で認められた二十三日、議会との向き合い方を問われた河村たかし市長はそう強調し、城と引き換えの「手打ち」や「手加減」を打ち消した。

 木造復元の関連予算案は昨年六月から三たび継続審査となり、今回も、直前まで賛否が割れていた。議会の一部には、市長選を意識した思惑も働いた。「これ以上、対立を際立たせたくない」「認めれば、報酬問題で大きく拳を振り上げはしないだろう」

 市議会解散請求(リコール)や、再度の報酬半減…。六年前、煮え湯を飲まされた議員は、今回も可決されなければ、議会改革を盾に攻め立てる市長の姿が容易に想像できた。

 市民税減税や議会改革を掲げ、政令市で初めて、二〇一一年の市議会リコールの住民投票を主導。「ある程度の期数で交代するボランティア議員を増やし、政治への市民参加を促す」とする議会改革の象徴が、年八百万円への報酬半減だった。

 「市長がワーワー言うから八百万円になったが、なぜ市長の公約に従って報酬を決めなければいけないのか」

 自民党の藤田和秀さん(53)は集会で報酬問題に言及し、理不尽だと強調する。父の地盤を継いで五期目。世襲や多選など議員の「家業化」をやり玉に挙げる市長と相いれず「職業議員」を肯定する。

 そんな急先鋒(せんぽう)も河村市長就任以降、支持者を集めた市政報告会を毎年開くようになったのは発信力で対抗する必要に迫られたためだ。

 河村市長の八年、筋書きに沿って議事が進むことが多かった時代と変わり、政策論で審議が紛糾する場面は当たり前。委員会で議員同士が討論する仕組みも生まれ「議会が活発になったのは確か」と中堅市議の一人。

 しかし、報酬問題は火種としてくすぶり続ける。昨年四月、自民、民進、公明の主要三会派は「年八百万円では活動が困難」として、深い議論もなく千四百五十五万円に引き上げた。市長は猛反発し、リコールという伝家の宝刀をちらつかせたが、ついぞ抜くことはなかった。

 当時、名古屋城天守閣の木造復元の予算審議を控え、議会との決定的な対立を避けたのでは、との見方もある。

 議員本来の仕事はどうあるべきか、それに見合った報酬の在り方は−。本質的な議論は置き去りにされたまま、報酬問題は市長と議員の政治的な駆け引きに使われている。

◆河村市長ひと言

 報酬の年八百万円は市民並み給与で、という主張です。議員は市民の代表、市民と同質性がいるんです。議員が固定化すると、どうしても市民のことを忘れてしまい、役所と仲良くなりすぎる。それをストップしようというのが議会改革の根源。家業の人が一人もいてはだめということではありませんよ。半数も家業化してたらどうかと。任期を区切るとか、いろいろやり方はあります。米ロサンゼルスの議員は連続三期十二年、市長は二期八年で終わり。ただ、そういう制度をつくるために二期で終わらず、戦い続けることもあります。

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