静岡

<18才の夏+新聞カフェ> 当確の瞬間 選挙事務所で見た

2016年7月12日

一票で政治変わるんだ

 十日午後八時。参院選の投票が締め切られ、テレビの特別番組が一斉に始まる。各地の選挙事務所と中継がつながり、カメラのフラッシュが飛び交う中、当選が確実になった候補者が満面の笑みで両手を掲げる。浜松市中区の静岡文化芸術大と中日新聞東海本社の「新聞カフェ」の学生たちと記者は画面の向こう側に潜入した。

 静岡市のある陣営の事務所。投票終了三十分前の午後七時半、すでに報道陣と支援者であふれ返っている。「民放が当選確実を出した段階で候補がこちらに向かいます。万歳は八時十分」。司会の男性が呼び掛ける。一年佐藤綾香さん(18)は思わず「もう決まってるの?」と漏らした。

 八時になった。事務所に並んだ二台のテレビに支援者が注目する。番組開始からわずか数分で候補者の当確が画面に表示された。三年古橋達基さん(20)の「早すぎ」という声は、ごう音のような拍手でかき消される。予定通りに到着した主役が、もみくちゃにされながら花束を受け取る。盛り上がりは最高潮に。熱気が充満し、サウナのようだ。

 すぐに報道各社のインタビューが始まった。候補者は何度も何度も、同じような質問に答え続ける。「祈必勝」と書かれたポスターがあったホワイトボードは、いつの間にかくるりと反転し、「祝当選」に変わっていた。

 公示日の六月二十二日から、学生たちと追い掛けた選挙が終わった。古橋さんは初日、記者と一緒に街頭演説を聞いた学生の一人。その日から、投票とはどういうものか、ギリシャやローマの歴史をひもといた。政治について語り合い、親と衝突した日も。投票日前夜まで悩み、より具体的に政策を語る候補に決めた。「当選はゴールじゃなくてスタート。有権者は見ているぞという気持ちで追っていきたい」と今後は国会での仕事ぶりをチェックするつもりだ。

◆「もっと私たちに目を」

 佐藤さんは「今まで参議院ってよく分からなかったけど、投票に行ったり、事務所に来てみたりして自分にも関係ある気がした」と実感した。「もっと政治に関心を持ちたい。私たちの意見を聞いてほしいし、もっと私たちに目を向けてほしい」と話す。

 嵐のような一夜が明けた十一日。早朝まで続いた開票結果を新聞やテレビが伝えた。古橋さんは「政治に参加できるようになった達成感でいっぱい。選挙に行くことで、政治について考えることがたくさんあった」と声を弾ませた。佐藤さんは報道で、改憲勢力が改憲の発議に必要な三分の二以上の議席を獲得したことを知った。「一票の積み重ねで政治の動きは変わる。一票は重い。選挙に行って意志を反映させなきゃだめですね」

(石川由佳理)

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