静岡

<18才の夏@天竜高> まとめ

2016年7月8日

◆不祥事に過敏反応/知識不足で恐怖感

 五月下旬から、天竜高校(浜松市天竜区)で繰り広げられた計五回の「選挙を考える授業」。生徒たちの話に耳を傾けると「十八歳」が抱く政治へのイメージが鮮明になってきた。

(1)嫌い

 授業期間中、前東京都知事の舛添要一氏の政治資金問題が波紋を広げていた。政治家の不祥事に生徒たちは過敏に反応した。「庶民の感覚が分からない人だ」「ああいう政治家が一人いると、全員が信じられなくなる」と辛辣(しんらつ)な言葉を並べた。

 そもそも「政治家がどんな人間で、どんな仕事をしているか、実態が分からない」と口をそろえる。正体の知れない政治はスキャンダルによりますます不透明になり、選挙嫌いを助長しているように思えた。

(2)怖い

 選挙権引き下げへの反対理由として、特に目立ったのが「恐怖感」だ。「知識の少ない私たちが投票していいのか」「本気で選挙に立候補し、国のことを考えている人に失礼」といった声が多かった。「知識のなさに付け込まれ、政治家に利用されたくない」とも。

 「二十歳で成人」と思っていたら、いきなり大人扱いされたのでは高校生も慌てふためく。「小中学校でも選挙について教えるべきだ」という主張もあった。

(3)むなしい

 十八歳選挙権への賛否を議論すると、多数の生徒が「十代の有権者数は約二百四十万人。全体の2%」という数字を根拠に上げ、「投票しても、中高年の意見が尊重される」「若者の低投票率も仕方ない」と語った。

 一九九八、九九年生まれの高校生にとって、日本はずっと「少子高齢化社会」。景気は低迷し、明るいニュースは少なかった。一方で、ネット環境の普及で、現実的な知識をたやすく得られる。「選挙権年齢引き下げは、長い目で見れば私たちの次世代の政治を変える」という結論に多くが至った。良くも悪くも、欲が少なく、現実を直視する世代ならではの答えだ。

     ◇

 (1)〜(3)はいずれも、十八歳に特有の感情ではなく、大人にも当てはまる。異なるのは、その濃度だ。担当の小木充教諭(44)の言葉を借りれば、高校生は「悲観主義と真善美への憧れが同居して」おり、政治への期待も失望も、ささいな出来事によって起こりうる。

 今回の授業と同様、学校や家庭、地域が高校生と政治を「語り」、疑問を解消していかなければならない。声高に「投票に行け」と言うだけでは無意味だ。生徒たちはいつも、大人の背中を見ている。

(天竜高校の一連の企画は、西田直晃が担当しました)

写真

主な政党の公約

新聞購読のご案内