静岡

日米安保 問うべき争点

2016年7月3日

◆空包落下「一歩間違えば子どもに」

米軍の空包は部活動中の生徒と緑色のフェンスの間に落ちていた=2日、小山町藤曲の小山中で

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 昨年九月に成立した安全保障関連法の廃止を掲げ、野党共闘の構図が生まれた参院選。集団的自衛権の行使を容認するなど安倍政権は米国との安全保障関係を深める。静岡県には、米海兵隊キャンプ富士(御殿場市)や米軍の訓練にも使われる陸上自衛隊東富士演習場(御殿場市、裾野市、小山町)があり、日米同盟の行方と無関係ではない。

 「先生、変なものが」。昨年七月、小山町立小山中学校の男子生徒たちが校内のテニスコートに銃弾のような長さ七センチの金属が三つ落ちているのを見つけた。翌日、米陸軍のヘリコプターが落とした訓練用の空包だと分かった。

 小山町上空は、米軍厚木基地(神奈川県厚木市)などから東富士に向かう米軍ヘリの飛行ルートになっている。空包が見つかった日は、米軍がキャンプ富士と東富士で空包を使った訓練をしており、町などに実施計画を届けていた。鈴木宰(つかさ)校長は当時を振り返り「一歩間違えば子どもに当たっていたかもしれない。学校に落ちるなんてあってはならないことだ」と語気を強めた。

 落下原因について、米軍は町に「銃から空包を取り出す際のミス」と防衛省を通して伝えた。町は米軍に再発防止を要請し、米軍は「住宅地上空での銃器の扱いを避ける」と答えた。ただ、なぜミスが起きたのか、市街地の中にある学校の上空で作業が必要だったのか、具体的な説明はない。

 米軍施設や演習場への地元住民の思いは複雑だ。今年三月に小山中を卒業した長女を持つ町内のパート女性(39)は「近隣国との関係を考えたら日米同盟は不可欠。演習場で働いている知人もいて、なくなればいいとは思わない」と話す。一方で「集団的自衛権とか難しくて考えたことはないけれど、住宅地以外のルートを選ぶのはそんなに難しいのか」と違和感も抱く。

 東富士には二〇一四年七月、米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に所属する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが初飛来し、翌八月から今年五月までに九回の訓練があった。一七年には、事故率の高さが問題視される空軍仕様のCV22オスプレイが横田基地(東京都)に配備予定で、東富士では空対地の射撃訓練も計画されている。

 「なし崩し的に東富士が米軍の拠点に変質している」。地元との基地使用協定に違反がないか監視している住民の会事務局長の渡辺希一(きいち)さん(64)=小山町=は指摘する。

 一四年の衆院選では安保法制への民意が明確に問われなかったとして、渡辺さんは「与党側は争点化を避けているが、今回の参院選は憲法九条を変えることの是非が問われている」と見る。「自衛隊は米国まで守るべきなのか、今こそ考えなくてはいけない」

(熊崎未奈、小佐野慧太)

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