静岡

女性参政権70年 90代が重み語る

2016年6月27日

◆静岡市葵区の竹山さん

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 七月十日に投票日を迎える参院選は、新たに十八歳と十九歳が一票を投じる。一九四六(昭和二十一)年四月十日、日本の成人女性たちが衆院選で投票して以来、七十年ぶりの選挙権拡大となる。歴史的な選挙に参加した女性たちが、当時を振り返り、一票への思いを語った。

 引佐郡奥山村、現在の浜松市北区。竹山よ志子さん(92)=静岡市葵区=は歩いて投票所に向かった。地元で養蚕などを営む実業家の大きな家。村職員が一段高いところに座っていた。

 わずか一年前までは、国に命さえもささげる時代。「国会議員に活躍してもらいたいとか、そんな大きなことは考えられなかった」。物珍しさが先に立ち、ただ当選してもらいたいの一心で、意中の人の名前を書いた。女性の職員に見守られながら一票を投じた。

 静岡県は全県一区制で、定数の十四人に対し八十二人が立候補。そのうちの一人、山崎道子さん(日本社会党)の印象は鮮烈だった。「男ばっかりの社会で、女性が出るなんて考えもしなかった」。この時、山崎さんは十九万票余りを集め、二位に倍以上の差をつけトップ当選を果たす。「女性の道を開いた」と感じた。

 実家は衣服のほかは何でも扱う店を営んでいた。買い物客が来ると三畳ほどのスペースに腰掛け、世間話をしては店の新聞を読んだり、ラジオを聞いたり。父の高田勝平さんは村会議員を務め、選挙が始まると刑事が来て、父を監視するのが常だった。政治への関心は自然と高まり、女学校時代は新聞記者に憧れる少女だった。

 終戦の一年前に結婚し、その四カ月後に夫は中国に出征。初めて一票を投じた年に、戦死の知らせが届いた。戦後は保育士の資格を取り、六十五歳まで母子寮などで働いた。現在も発足から関わる静岡市母子寡婦福祉会の顧問を務める。

 振り返れば、遊び歌の中まで軍国主義が入り込んでいた子ども時代。国が戦争をすることで盛り上がる経済を見てきた。だから、政治家には経済と教育に力を入れてほしいと願う。「豊かに楽しく生活できる経済を。戦争経済ではない平和の経済をね」。これまで一度も棄権をしたことはない。

 今回の参院選から選挙権が十代に拡大した。家庭や学校で公平に政治の話をすることが必要だと感じている。「候補者一人一人の発言を読んだり、聞いたりした上で投票して」。新たな有権者に向け、そう話す。

(渡辺聖子)

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