静岡

<一票の夏> 有識者に聞く(上)

2016年6月21日

◆県立大・前山亮吉教授

 参院選の公示が二十二日に迫り、いよいよ選挙戦に突入する。静岡選挙区は二議席に現職一人、新人三人が名乗りを上げている。アベノミクス、安保法制、憲法改正、原発などが争点に挙げられる中、静岡の有権者はどこに注目し、何を投票基準にしたらよいのか。県内の有識者に判断材料のヒントを聞いた。

◆選択肢少ない静岡選挙区 多様な意見反映できない

「現状の政策はすべて政権評価の対象」と話す静岡県立大の前山教授=静岡市駿河区で

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 −争点は何か。

 三年半の安倍政権への中間評価。安倍政権で良いか悪いか。アベノミクスの是非や、強引な政治手法だ。消費税の増税延期は野党も同じで争点にならない。

 −憲法改正は。

 参院選は衆院選より投票率が落ち、改選議席は半数。一回の参院選で争点にするべきテーマではない。改憲勢力が三分の二を占めたとしても「改憲派の勝利」「護憲派の敗北」と分析するのはミスリードになる。

 −静岡の有権者はどこに注目するべきか。

 大変、答えにくい。静岡の有権者は、選ぶ権利が奪われている。原因は二人を当選させる選挙区であることと、結果が見える選挙の構図をつくった政党にある。参院の存在意義は、多様な意見や少数意見の反映にある。本来は、県単位の一人区や二人区ではなく四〜六人を選べる地域ブロックにすべきだ。二人区の静岡は二大政党の浸透で第三極や少数政党が挑戦しづらい。一九九五年に全国に十八あった二人区は、今は静岡を含む四府県だけ。四府県は今回いずれも無風が予想されている。県単位が選挙区となっているしわ寄せだ。

 −政党も予定調和で緊張感がない。

 自民党と民進党が指定席に座る結果が見えている。全国的には野党共闘が伸ばすかという面白さはあるが、静岡はそれもない。安倍政権の信を問うなら、自民は二人擁立し、独占を狙うべきだった。野党も共闘して自民超えを目指すやり方もあったが、分裂したまま。県内で意味を見いだすとすれば、来年の知事選の前哨戦としてだろう。

◆投票した中に自分の票が あると感じることが一歩

 −十八歳以上が今回から投票ができる。

 選択肢が少ない静岡は、十八歳選挙権が始まるのにものすごく悪い環境だ。若者は「なんで静岡は四人からしか選べないんだ」と矛盾を感じるだろう。しかし、選挙は一回きりで終わりではなく、次の選挙につながると考えてほしい。落選しても法定得票に達していれば、繰り上げ当選の可能性もある。そんな仕組みも分かってもらえたら。

 −若者に向けて政治家がすべきことは。

 売名行為ではない政治教育。「選挙は大事だ」「行かないと不利益がある」と伝えることだ。ただ、「若者が投票しないと高齢者に有利な政策になる」と世代間対立をあおる手法は危険だ。

 −「原発は野党、経済は与党」とテーマで支持政党が異なる場合の投票基準は。

 参院選は政権選択ではない。その時に一番大事と思う一点で選べばいい。現状の政策はすべて政権評価の対象だから、「原発はダメ」の一点で選んでもいい。

 −若者の中には「よく分からない」と棄権することも予想される。

 未熟でも精通していても一人一票が民主主義の大原則。選ぶ基準は人それぞれで、投票したい人がいないから「行かない」もありだ。ただ、投票したら結果を見て、自分の一票が何十万票のかたまりの中にあると感じることが、選挙に関心を持つ一歩だ。

<まえやま・りょうきち>1960年、神奈川県鎌倉市生まれ。静岡県立大講師、准教授などを経て同大、大学院国際関係学研究科長・教授。主な著書に「静岡の政治 日本の政治」など。

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