静岡

18歳選挙権 授業手探り 県教委や高校

2016年1月30日

◆時間に限り 中立性は

模擬投票で1票を投じる生徒たち=掛川市の県立横須賀高で(神谷円香撮影)

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 今夏の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのを前に、県教委は選挙権を得る高校生への主権者教育に力を入れている。昨年に改正公選法が施行されて以降、市町選管と高校との連携が進み、模擬投票を実施する高校が増えた。ただ、これまでの公民科の範囲を超えた内容をどう教えていけば良いか現場に戸惑いもあり、指導法は手探りだ。

 「政治ってどんなイメージですか」

 掛川市の県立横須賀高校で十五日あった選挙について学ぶ出前授業。市選管の担当者が三年生百五十人にこう問い掛け、選挙権の歴史や投票所での手続きの流れを説明した。候補者役の教員がマニフェスト(政権公約)を訴え、生徒たちは実際に使われている記載台や投票箱で模擬投票した。

 松下七海さん(18)は「国債って言葉でなく、国の借金って言ってもらわないと政治の用語は難しくて分かりにくい」と率直な感想を話す。

 担任の梶山奈津子教諭(35)は授業で「二十歳で初めて選挙に行った時はとても緊張していた」と自身の経験を語り、生徒の関心を引こうと努めた。普段から新聞やテレビで政治ニュースに触れる生徒は少なく、どう興味を持たせるかが一番の課題。授業後のアンケートでは「選挙に行ってみたい」と答えた生徒が大多数で、「模擬投票は興味を持つきっかけにはなったと思う」と話した。

 文部科学省と総務省は主権者教育の副教材「私たちが拓(ひら)く日本の未来」を作成、年末までに全国の高校生に配布した。選挙の仕組みや模擬選挙の実践法を詳しく記述している。

 文科省は、三年生が卒業するまでに「確実に学ぶべき内容」として各教委に通知しているが、残る授業時間が少ない三年生には一時間の出前授業をひねり出すのがやっと。県教委高校教育課の小谷和之指導主事は「副教材の内容は時間を割かないとできない。来年度からは『このページを触れてください』と具体的な計画を示したい」と話す。

 文科省は、次回の学習指導要領改定で新科目「公共」を設け必修にする方針を示している。模擬投票や模擬裁判の学習が想定され、社会の一員として判断して選択する力を育む主権者教育に重きを置く考えだ。

 県教委は十四日、掛川市で教員を集めた主権者教育の研究集会を開き、副教材の活用法などを説明した。教員から不安の声が多かった政治的中立性の確保については「政治に中立は基本的にない。議論の過程が重要で、生徒の考えが深まる授業を」と促した。

 集会では副教材の編集に携わった神奈川県立湘南台高校の黒崎洋介教諭が同校で実践している主権者教育の取り組みを紹介した。キャリア教育の一環として全教諭が関わり、生徒に論理的思考を身に付けさせることを重視している。黒崎教諭は「議論の正解は一つではない。生徒には、さまざまな意見を聞き、揺れていく過程を感じてもらえるよう心掛けている」と話した。

(神谷円香)

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