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涼しい教室、取り戻せるか 県立高のエアコン設置、財源課題

菅官房長官(右)に要望書を手渡す阿部知事=内閣府で(県教委提供)

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 今夏の猛暑を受け、県と県教委が公立高校へのエアコン設置に向けた動きを加速させている。県内も熱中症で死者が出るなど「冷涼な気候という前提が崩れてきている」(原山隆一教育長)背景があり、8月5日に投開票された知事選でも争点の一つとなった。阿部守一知事と原山教育長の両トップは「なるべく早く」と急ぐが、多くの教室に取り付ける財源をどう確保するのか、工夫が求められそうだ。

 文部科学省と県教委によると、県立高の普通教室のエアコン設置率は昨年四月現在、18・7%。全国平均74・1%を大きく下回り、四十七都道府県で四十一位の低さだ。

 県立高校の保健室には全室取り付けられている。パソコン室などへの設置も進められた。普通教室は保護者らが費用を負担して取り付けられたのがほとんどで、県教委は、車の騒音やグラウンドの砂ぼこりが入り込むなど窓が開けられない事情のある教室に限ってきた。担当者は「県教委が設置したのは、ほんの数%」と明かす。

 阿部知事は八月の会見で「県が設置した県立高などは、県の責任で(エアコンを)設置する。県教委に前倒しを要請する」と話した。原山教育長も同月の会見で「長野はもう冷涼ではない。やらなくては」と同調。県教委は設置に向け、県議会九月定例会の一般会計補正予算案に設計費を盛り込む準備を進めている。

 公立小中学校の普通教室の設置率も県内は3・7%(全国平均49・6%)と低く、全国四十三位だ。市町村立小中学校での設置促進に向け、阿部知事は八月、市町村への財政支援を求める要望書を菅義偉官房長官や林芳正文科相に提出した。

 要望書は、県内の市町村が本年度当初予算で県を通じて要望した小中学校へのエアコン設置工事十一件に国の補助金を求めたが、全て不採択になったと指摘。児童生徒の健康を守るためには必要と訴え、支援を求めた。補助対象に高校を加えることも要請した。

 同月二十七日に阿部知事から手渡された菅官房長官は「しっかり受け止める」と応じたという。

 早急に整備する参考になるのが、8・6%だった市立小中学校の設置率を四年間で100%にした熊本市だ。大西一史市長が二〇一四年の市長選で、エアコン設置を公約に掲げ初当選。一六年四月の熊本地震を受け、停電時も小中学校が避難所として機能するよう、各校とも一台は発電機能のある室外機を導入した。国の補助を受け、総事業費約四十六億円のうち約十六億円の負担で済んだ。

 県教委のある職員は「災害対策なども盛り込むと、補助金申請に対する国の反応はいいと思う」と話す。阿部知事は今月三日の会見で「設置には多額のコストがかかる。国の予算措置も有効に使いながら抑制したい。熊本市の視点も踏まえ、具体的な検討をしていきたい」と話した。

 (渡辺陽太郎)

 

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