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大町らしいワインを 矢野さん、醸造所開設めざす

ブドウ畑でブドウの木をチェックする矢野さん(左)と妻久江さん=大町市の矢野園で

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 栃木県足利市にあるワイン醸造の名門「ココ・ファーム・ワイナリー」で10年余り修業したワイン醸造家矢野喜雄さん(47)が、大町市に移住し、醸造所の開設を目指しブドウを栽培している。「ワインは土地の味が出る。北アルプスの麓の大町らしい味わいを表現したい」と意気込んでいる。

 埼玉県嵐山町出身。東京で建設関連の会社に勤めていた二十年余り前にワインにはまった。ココ・ファームには二〇〇〇年五月、同僚の紹介で初めて訪れ、のどかな自然の中でブドウの木の苗を植えた。土日に泊まりがけで作業を手伝うようになり、〇三年八月に会社を辞めてココ・ファームの職員になった。

 ココ・ファームは〇〇年に九州沖縄サミットの晩さん会でワインが乾杯に用いられて有名になった。障害者支援施設の関係者が運営し、施設の利用者もワインの仕込みや瓶詰めなどの作業に携わっている。矢野さんは「みんな生き生きと働いている。別世界だった」と振り返る。

 そこでは、米国人の名醸造家、ブルース・ガットラヴさんにブドウの栽培や醸し方を教え込まれた。〇八年の北海道洞爺湖サミットで提供された「風のルージュ 2006」の醸造にも携わった。

 「醸造でブドウの質は、保てても高められはしない。質の高いブドウの栽培が何より大事ということがブルースさんの教えだった」

 自分で醸したワインを世に問いたい、との思いが募った。ココ・ファームを一三年末に退職し、翌一四年二月に大町市に移り住んだ。決め手は、夏に涼しく昼夜の寒暖差が大きいのに加えて「花こう岩に由来する土壌に恵まれていること」。こうした土壌は水はけが良く、仏ボジョレーなど海外にも名産地がある。

 大町市の花こう岩に由来する土壌は、北アの扇状地にある。本州を南北に横断するフォッサマグナ(大地溝帯)の活動でできた。「大地の壮大な歴史の中でブドウを育てたい」と語る。

 ブドウ畑は妻久江さん(47)と広げ、今は約四千本。初年に植えたシャルドネやピノ・ノワールなどを昨秋、初めて収穫した。一部は糖度が二十三度に上り、味の決め手の酸度も果汁百ミリリットルに一グラムと高めだった。

 「普通は糖度が上がれば酸度は落ち、平板な味になる。大町の条件の良さを実感した」。県内の友人の醸造所で醸し、五月頃にボトル約四百〜五百本を出荷する予定。

 醸造所の建設計画は、大町市が三月に、醸造の免許の条件である年間の最低の醸造量が六千リットルから二千リットルに下がった「ワイン特区」となったことを受けて、来年十月にも操業できるよう進めている。

 「僕のワインを目当てにお客さんが来て、北アルプスを眺めながら飲んでもらえるようになれば最高です」と、そのときを待ち望んでいる。

 (林啓太)

 

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