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保護と漁業の両立模索 諏訪湖のコハクチョウ飛来減

早朝、諏訪湖でコハクチョウの餌場確保のため氷を割る会員=岡谷市の横河川河口付近で

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 諏訪湖に飛来するコハクチョウの数が減っている。県林務課によると、湖と周辺河川への飛来数は、二〇〇二年度に五百二十五羽を数えたが、一四年度以降は百羽以下で推移。一八年一月十五日に実施した調査では四十三羽にとどまっている。要因を探ってみると、地元の複雑な事情もみえてきた。

 岡谷市の横河川河口付近。湖に氷が張る時季になると、地元の保護団体「諏訪湖白鳥の会」の会員らは早朝から胴長靴姿で湖に入り、薄氷を割っていく。草や藻を食べるコハクチョウの餌場を確保するためだ。

 飛来数が減っている要因について、同会が問題視しているのが、諏訪湖漁協(諏訪市)によるカワアイサの「追い払い」作戦だ。魚食性の渡り鳥カワアイサを集中的に追い払うこの取り組みが「コハクチョウまで怖がらせている」と主張する。

 同会の事務局長、花岡幸一さん(62)はこう話す。「追い払いで、魚食性でないコハクチョウまで諏訪湖が危険な場所であると学習してしまったようだ。毎年の飛来を楽しみにしている人は多く、減少は寂しい」

 日本野鳥の会諏訪支部長の林正敏さん(73)も「コハクチョウは子を守る意識がとても強い鳥。カワアイサの追い払いに、コハクチョウまで身の危険を感じている」と見る。

 一方、諏訪湖漁協が追い払いを始めたのは二〇〇七年。武居薫組合長(67)は「対処療法的な措置だが、何もやらないわけにいかない」と語る。

 追い払いは十二月上旬から三月上旬に行い、職員二人が漁船で追い立てたり、花火の音で驚かしたりする。背景にあるのは、厳しいワカサギの漁獲高だ。

 採卵する親魚や投網などでの漁獲高は一九七〇年の三百三十トンをピークに減少の一途。二〇〇六年は四十二トン、大量死が発生した一六年は十トンにまで落ち込んだ。

 追い払いの効果は出ているようで、〇七年度に二千三百三十三羽だったカワアイサは今年一月には六百三十五羽に減っている。

 コハクチョウの飛来数について、武居組合長は「犀川(安曇野市)など他地域でも餌づけしていると聞く。そちらに流れているのではないか」と話し、飛来数減少との因果関係には疑問を呈した。

 追い払いを続ける漁協と、これに不満を抱く保護団体。両者の間に立つ県林務課の担当者は「(追い払いがコクハクチョウの減少に)恐らく影響していると思う」としつつも「漁協にとっても苦肉の策。自然保護と漁業との両立の難しさを感じている」と頭を抱える。溝は簡単に埋まりそうにないのが現状のようだ。

 (福永保典)

 

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