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「最古のクリ」と確認 25年前、上松で発掘

発掘されたクリの実の一部=上松町教育委員会提供

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 上松町と町教育委員会は二十五日、町公民館で会見し、約二十五年前に町内の遺跡で発掘されたクリの実が、およそ一万三千年前の縄文時代草創期(一万六千〜一万一千年前)のもので、国内で発見された最古のクリの実と分かったと発表した。

 これまで最も古いとされてきたクリの実や皮は、いずれも縄文時代早期(一万一千〜七千年前)の出土品で、草創期のクリの実が確認されたのは初めて。

 当時の住居跡で見つかったことなどから、町教委や専門家は「草創期にクリが食用とされていたことを裏付けるきわめて重要な資料」と結論づけた。

 クリの実は、国道19号のバイパス道路工事に伴う埋蔵文化財調査で、一九九二〜九三年に工事前の「お宮の森裏遺跡」(同町)の竪穴式住居内で見つかった。高さ、幅ともに一センチほどでほぼ原形をとどめているものが二個、数ミリのかけらが八百七十四個。

 いずれも町教委がほかの出土品とともに町公民館で保存していた。当時の発掘作業を記録した報告書に「最古の食糧資料としてきわめて重要」と記載されたが、科学的な分析は行われていなかった。

 二〇一五年五月に同報告書を見て町公民館を訪れた民間の物質文化研究所「一芦舎」の名久井文明代表(民俗考古学)の薦めで、町教委は文献調査などを開始。一六年十二月には加速器分析研究所(川崎市)で放射性炭素年代測定などを実施し、約一万二千九百〜一万二千七百年前のクリの実であることが判明。複数の専門家に調査を依頼し、最古であるとの所見を得た。

 また、原形をとどめているクリの実の一つには直径一ミリほどの穴が貫通している。これについて名久井氏は「当時の縄文人が生のクリの実に針で糸を通し、つるして乾燥させていた可能性もある」とした。

 これまで人為的に穴があけられたクリの実で最も古い事例は札幌市の「K135遺跡」で出土した三〜四世紀のもので、「事実ならこれまでの発見を大きくさかのぼる大変貴重な例」という。

 町教委の植原一郎教育長は「クリの穴については他の専門家からは否定的な意見も出ており、結論が出ていない。今後も継続的に調査を続けていく」と話している。

 クリの実などを紹介するパネルや同遺跡の出土品は二十五日から、町公民館で展示されている。クリの実本体は保護のため展示されない。

 (酒井大二郎)

 

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