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ドイツ人と日本人夫妻が熊野で農業ざんまい 耕作放棄地活用

 【土平研編集委員のコメント】地方版には日々、市井の人たちが登場します。地域おこしに取り組んだり、伝統の祭や文化を後世に残そうと奮闘したり、誠実に自分の仕事に打ち込んだり…。世間的には無名でも、キラリと光る人たちです。取材する記者にとっても、そんな人たちとの出会いは大きな喜び。学ぶことも多く、転勤で任地を離れた後も一生のつきあいとなることがあります。今日取り上げたのは、三重県の南端・熊野市で農業に挑むドイツ人と日本人の夫妻の話題。尾鷲市などが対象の「くろしお版」の記事です。過疎高齢化が進む人口161人の集落で耕作放棄地を活用し、アボカドの生産に取り組んでいます。集落に移住してきた外国人は約50年ぶりとか。「頑張って」と応援したくなりました。

アボカド栽培に取り組む伊藤ティロさん(左)と恵理香さん=熊野市波田須町で

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 熊野灘に臨む熊野市波田須(はだす)町に、耕作放棄地を活用して農作物を育てる国際結婚の夫妻がいる。ドイツ人の伊藤ティロさん(37)と恵理香さん(34)。現在はアボカドの生産にチャレンジし、三年かけて生育する考え。過疎高齢化が進む集落の住民からは「町の中がきれいになってすばらしい」と喜ぶ声が上がる。

 ドイツ中部のテューリンゲン州出身のティロさんと大阪市出身の恵理香さんとの出会いは五年前。同国の大学で日本の言葉や哲学を学んでいたティロさんは、就労ビザを取得し現地のすし店で働いていた恵理香さんと知り合った。日本への憧れがあったため、二〇一四年に来日し結婚。群馬県で知り合いの農家で二年間、稲作を手伝った。

 さらに農業の勉強をしようと、和歌山県橋本市にある農園で研修。そこでは野菜を中心に五十種類を育て、農薬や肥料を使わない有機栽培を知った。「それまで肥料を使わないと作物は育たないと思っていたが、成長している。考え方が大きく変わった」。農薬に頼らない自然農法に強い関心を抱いた。

 一年間の研修を終え、自転車ロードレース「ツール・ド・熊野」を通じて憧れていた紀伊半島南部で住居を探し、熊野市波田須町の空き家を購入して改装。一八年三月に移住し、住民から耕作放棄地も借りた。

過疎高齢化が進む集落=熊野市波田須町で

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 野菜だけでは、手間ひまがかかる上に、収入は上がりにくいと見込み、温暖な地で栽培されるアボカドに目が向いた。放棄地で草刈りをしてから苗木十八本を植え、緑肥もすき込んだ。獣害を防ぐため、竹の柵も手作り。二人は「生育に三年はかかるだろうが、地域を元気にしたいとの思いがある。今後はバナナやアテモヤにも挑戦したい」と意気込んでいる。

 区長の矢賀久広さん(73)によると、集落に移住してきた外国人は約五十年ぶり。矢賀さんは「高齢化が進み、農地の八割超が放棄地になっている。本腰を入れて取り組んでくれて、こんなにありがたいことはない」と感謝している。

 熊野市波田須町 人口は98世帯161人(2018年12月1日現在)の集落。紀元前、中国・秦の始皇帝の命を受け、不老不死の薬を求めた徐福が上陸したと伝わり、「徐福の宮」がある。

 (木造康博)

 

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