トップ > 三重 > 8月29日の記事一覧 > 記事

ここから本文

三重

うなぎ文化支え121年 津の老舗「藤屋」が月末で閉店

秘伝のたれを前に店の歴史を振り返る田辺さん=津市新東町の藤屋で

写真

 津市新東町で121年続いた老舗うなぎ店「藤屋」が、8月末をもって閉店する。うなぎ料理を市民に長らく提供してきたが、後継者がいないため閉店を決意。引退する4代目の田辺昭裕さん(59)は「正直なところ、肩の荷がやっと下りたなという感じ」と話す。

 一八九七(明治三十)年に初代田辺平八さんが津市岩田に開いた藤屋。開店当初はうなぎ料理も取り扱う日本料理店だった。戦時中の空襲も乗り越え、現在の地に移転し営業を続けた。

 三十五年前には店を建て替え、うなぎ専門店として再出発。身は薄めだが、小骨が小さく食べやすい細身のうなぎにこだわり、秘伝のたれで焼き上げてきた。「うなぎがあまり好きじゃなかった人から、藤屋のうなぎを食べて好きになったと言われたときは、うなぎ屋をやっていてよかったなと思った」と笑顔で振り返る。

 現在は千〜二千円台でかばやき定食とうな丼を提供。田辺さんと母の二人で切り盛りしてきたが、母が高齢となり店で働くことが困難に。田辺さんを継ぐ人もいないことから、今年の春に八月末で閉店することを決めた。

 津市は江戸時代からうなぎを食べる文化が盛ん。二〇〇五年にはかば焼きへの支出額が日本一になるなど、その伝統は今に受け継がれている。現在、市内にはうなぎ専門店が約二十店あるが、藤屋はその中でも二番目に古い。

 「うなぎの生産が安定していない現状で、うなぎを取り巻く環境は年々厳しくなっている。それでも、何とか津のうなぎ文化は維持していってほしい」と田辺さん。店は畳むものの、今後も市のうなぎ組合の一員として、うなぎ業界を助けていくつもりだ。

 最後の営業日は八月三十一日。田辺さんは「普段通りに淡々と終わりたいですね」と話していた。

 (上井啓太郎)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索