トップ > 三重 > 4月16日の記事一覧 > 記事

ここから本文

三重

将来へ丁寧な議論を 松阪の大江中、1学年ゼロ問題

大江中の入学式で、5人の新1年生(手前)を迎える3年生の生徒=6日、松阪市小片野町の同校で

写真

 昨春、新入学生がいなかった松阪市の大江中学校。今春は五人が入学し、三年生十二人と新学期を迎えた。市内最小規模の公立中で、学校生活へのいろんな影響が懸念される。地元では学校の存続や統廃合、校区割りの見直しなど意見が噴出しているが、簡単には結論が出ない。少子高齢化の中、大江中だけの問題でもないようだ。

 多気町境にあり、山や畑に囲まれた大江中。六日にあった入学式で、二年ぶりに校歌が響いた。「昨年は新入生が入らず残念だった。後輩ができてうれしい」。南小学校の卒業生を迎えた男子三年生が感想を話した。

 市内には公立の中学校が十一、小学校が三十六あるが、校区内に一つしか小学校がないのは大江中だけ。もともと進学対象の子が少ない。昨春はその南小の全卒業生十四人が「やりたい部活がない」と、他校へ進学した。

 部活は生徒減の影響を受けやすい。昨秋、二つの運動部がある大江中はテニスの新人戦で男子が市内で個人優勝する活躍を見せた。が、三年生引退後の夏以降、女子テニス部と卓球部は部員が三人以下になり、規定で団体戦に出られなかった。

 今春の一年生五人は両部に分かれる可能性もあり、夏以降、団体戦に出られるかは分からない。

 生徒会活動の負担増も懸念される。生徒会役員は四人。文化祭などの準備をする。毎年、秋以降は二年生が担うのが慣例だが、二年生がいない今年は一年生五人が四役を担う。

 学校の将来を巡り、市教育委員会は昨夏、保護者や住民らと協議会を設置。統廃合を含めて検討した上、存続で一致した。市教委は、近くの飯南中と新たに合同授業を開くなど大江中の活性化策も打ち出した。

 受け止め方はさまざまだ。岡本俊光・大石町自治会長(73)は「大江中は銀行やスーパーがある地域の中心部にあり、大切な場所。若い親のためにも小中学校があってほしい」。

 一方、住民には「一学年四、五人は少なすぎる」と統廃合を容認する声もある。南小児童の父親は「市内には大規模校もある。市全体で中学校区の区割りを見直してほしい」。

 難しいのはその区割りだ。国は公立小中学校の標準規模を十二〜十八学級とし、実際の規模は事情に応じて市町に委ねている。市内の公立中で十二学級以下は大江中(二学級)を含む四校。大江中は山間地ながら市中央部に近いが、山側の中学校より生徒数も校区内の児童数も少ない。

 市内最大の十八学級がある久保中は大江中の四十倍近い六百六十七人が通い、不均衡が生じている。

 過去の統廃合の結果とはいえ、進学対象者も学級数も少ない大江中は異例だが、市教委は「区割り変更は地理的、歴史的背景があり簡単ではないが、地域の一致した要望ならば検討する」という。

 県内の公立中百五十三校で、一学年がゼロなのは大江中と熊野市の神上中の二校。だが、少子高齢化や過疎化で松阪市内では今春、新入学生がゼロの小学校も一校出ている。

 「人口減を見込むと、今後も起こりうる問題」と三重大教育学部の織田泰幸准教授。地域コミュニティーの形成に関わる学校の統廃合について、「住民や保護者の思いを丁寧に聞くべきだ」と話す。

 (作山哲平)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索