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増える借金、余裕なし 18年度県予算案

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 県は十四日、一般会計総額が六千九百六十八億円の二〇一八年度当初予算案を発表した。前年度比0・9%減で四年ぶりに七千億円を下回ったが、特別会計、企業会計と合わせた総額は初めて一兆円を超えた。借金返済に充てる公債費や社会保障費増加で県財政は極めて厳しく、借金返済のため本来は六十億円を基金に積み立てるべきところをとりやめるなど、将来につけを回す「禁じ手」で捻出した。

 県予算が厳しい要因は、借金にあたる県債と社会保障費が増え続けるため。県債発行残高は二十年前と比べ一・八倍に膨れ、高齢化で社会保障費も十五年で倍増。二つの負担増で三重は全国屈指の財政に余裕のない県になっている。

◆のしかかる県債

 県債発行残高は一九九八年度に約七千七百億円だったが、二〇〇八年度に一兆円を突破。その後も上昇が続き一兆四千億円に達した。特にリーマン・ショック後の〇九、一〇年度や紀伊半島豪雨後の一二年度は大きく膨らんだ。財政課担当者は「三重は工業県でリーマン・ショックによる景気後退が大きく経済対策が必要だった。紀伊半島豪雨後も復旧や防災に力を入れた」と説明する。

 その代償で借金返済に充てる「公債費」も年々増える。歳出の項目別では公共事業のための土木費や農林水産業費、商工費は減る一方、公債費は〇九年度に約九百十億円だったが、一七年度決算で千二百億円に達する見通しだ。

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 借金負担がどれだけ重いかをみる指標「実質公債費比率」がある。収入のうち借金返済に充てる割合を示し、18%を超えると新たな起債(借金)に総務相の許可が必要な「要注意の自治体」になる。

 県の〇五年度の実質公債費比率は12・3%。全都道府県で八位と借金の少ない優等生だったが、年々数値は悪化し一六年度決算は14・3%で三十六位まで低下した。近年、全国平均の実質公債費比率は改善傾向で財政課も「全国と逆に状況が悪化するため国からの交付税にも頼りづらい」と認める。今後少なくとも四年間は毎年千二百億円程度を返し続ける必要があると試算する。

◆膨らむ社会保障

 もう一つ県予算を圧迫する「民生費」。高齢化で社会保障に充てるこの費用はうなぎ上り。〇三年度に約五百六十億円だったが、一一年度に一千億円を突破した。

 新年度予算でも高齢者介護の給付金の県負担が二百二十億円、障害者介護が七十億円、国民健康保険の県負担が百五十億円、後期高齢者医療費が二百十億円など各分野の金額も大きく、年々増加する。今後高齢者は二十年以上増え続けるため負担は重くなる一方だ。

◆硬直化する財政

 県財政が自由度を失っていることが分かる指標が「経常収支比率」。人件費、社会保障費、公債費のように簡単に減らせない義務的な支出に、県税や国からの交付税など毎年安定して入ってくるお金がどのくらい使われるかを示す。家計で例えれば食費や家賃、住宅ローンなど定期的な支出に、給料のような定期収入をどれだけ充てるかの割合に当たり、経常収支比率は「自治体のエンゲル係数」とも呼ばれる。

 100%に近いほど義務的支出だけで使ってしまうことになり、県独自の新規事業はほとんどできなくなる。県の経常収支比率は一六年度決算で99・8%とほぼ余裕ゼロの状態で、全都道府県の最下位を争う。一五年度決算は97・9%で下から三番目。〇三年度は約85%で全国九位だったが、どんどん順位を落とし、財政はすっかり硬直化した。

 (森耕一、吉川翔大)

 

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