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<2017みえ回顧>(9) 農業遺産にヒノキと海女、真珠

環境配慮型の尾鷲ヒノキ林を紹介する速水代表=紀北町で

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 将来に受け継ぐべき農林水産業の認定制度「日本農業遺産」の創設初年度登録地として、尾鷲市と紀北町の「尾鷲ヒノキ林業」、鳥羽、志摩市の「海女漁業と真珠養殖業」が選ばれた。

 急傾斜地と多雨という地理的条件の下で、強度があり木目が美しい木材を生産し続ける尾鷲ヒノキ林業。昨年の伊勢志摩サミットの円卓に使われた“逸材”は、約四百年の歴史を誇る地域産業から生まれた。

 評価の理由は歴史や栽培技術だけでなく、昨今の環境保護意識にもある。速水林業(紀北町)は国際的な森林管理基準「FSC認証」を全国に先駆けて取得。現在両市町のヒノキ林の17%が認証済みだ。速水亨代表(64)は「林業はそれ自体が大きな環境要素。経営に負担をかけず環境にも配慮するため、生産技術も時代とともに変化している」という。

 森林組合おわせ職員の浜田長宏さん(47)は「認証林をもっと増やしていくことが一番」とさらなる差別化の必要性を強調。担い手不足もささやかれる中、遺産の称号を一つのきっかけに「統一ロゴをつくるなど、ブランド化を一層進めて魅力ある産業にしなければ」と語る。

日本農業遺産認定後に初めて行われた海女の神事「しろんご祭り」=7月8日、鳥羽市の菅島で

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 一方、鳥羽、志摩両市では農業遺産の認知が広がらず、「鳥羽・志摩の海女漁業・真珠養殖業世界農業遺産推進協議会」事務局の県水産資源・経営課がPRポスター、のぼりを製作中。

 三月には「鳥羽・志摩の海女漁の技術」が国重要無形民俗文化財に指定された。関係者にとって国重文は、悲願の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録につながる大きなステップ。その喜びの陰に農業遺産が隠れた面もある。鳥羽市の海女(61)は「ありがたいが農業という名称がピンとこない。国重文の方がうれしい」と率直に話す。

 真珠養殖は鳥羽市が発祥の地とされるが、現在の生産は志摩市のみ。これまで光が当たる機会が少なかっただけに、業者は大きな契機ととらえる。立神真珠養殖漁協(同市)の森下文内組合長(70)は「モノとしての真珠から、見方を変えてもらう好機。養殖から始まるストーリーとして国内はもちろん、外国人観光客にも見学や体験に訪れてほしい」とし、世界農業遺産申請にも期待を寄せる。

 (長崎高大、西山和宏)

 

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