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弟子・其角の目から芭蕉を描く 名張の北村さんが小説

掲載時の新聞紙面を示す北村さん=名張市桔梗が丘2番町で

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 作家で日本ペンクラブ会員北村純一さん(69)=名張市桔梗が丘2番町=の小説「兄ィと呼んだ芭蕉−其角(きかく)の思い出」が同クラブのホームページ「電子文藝(ぶんげい)館」に掲載された。文藝館は文豪や実績のある会員たちの作品を電子化している。小説では松尾芭蕉の一番弟子、宝井其角の目を通して、神格化されがちな芭蕉の「気さくな一面」を描いたという。

 芭蕉が涼をとるために足裏を冷たい壁に当てているところに其角が訪ねる場面から始まる。伊賀出身の芭蕉が下積み時代の苦楽を其角と共にする様子を描いた。伊賀の豆腐田楽や上野天神宮(菅原神社)も登場する。

 其角は芭蕉を「兄ィ」、芭蕉は「角」と呼び合う気兼ねない仲。二人が月を眺めながら「三日月が包丁に見えてくる」「食いしん坊の兄ィらしい」「御馳走(ごちそう)してくださいよ」「持ち込んでくれる材料次第だな」などと軽快な会話が続く。

 「没後に美化され、神格化された芭蕉さんだが、もっと気さくで庶民的でもあったはず」と北村さん。

 作品では其角のことにもふれ、「当時の社会事象を詠んだ時事俳句が多い」と紹介している。自然を詠んだ芭蕉と作風をめぐり意見を戦わせたりする場面も。「難解な句を詠んだと言われるが、自分流を貫いた立派な人物」と再評価している。

 北村さんは伊賀市出身。大阪市立大在学時に本格的に俳句を始めた。卒業後は大手都市銀行に勤める傍ら、四十五歳から評論などの文筆活動を再開。二〇〇九年に「侏儒(しゅじゅ)の俳句−芥川龍之介に捧(ささ)げる箴言(しんげん)集」を出版したことなどが認められて日本ペンクラブへ入会した。一一年には論文「芸術としての俳句のあり方について」が電子文藝館に掲載された。

 小説執筆は今回が初めて。一六年五月から伊勢新聞に百二十回連載し、広く読んでもらおうと文藝館に五十一回分を掲載している。

 北村さんは「伊賀が誇る偉人、芭蕉さんの新しい姿を多くの人に読んでもらいたい」と話している。

 (日暮大輔)

 

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