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四日市、桑名、木曽岬で犠牲者追悼 伊勢湾台風から58年

 命、家、日常。すべてを押し流し、奪い去った伊勢湾台風から58年。北勢各地で26日、犠牲者を追悼する式典が開かれた。参列した人たちは抱えてきた記憶、消えない恐怖を吐露する。

◆家族が家の下敷き 四日市

慰霊碑を見つめ、手を合わせる遺族=四日市市富田一色町の富田一色海浜緑地公園で

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 四日市市富田一色町の富田一色海浜緑地公園では、市主催の殉難者慰霊献花式が開かれた。

 遺族、関係者五十人が出席し、慰霊碑の前に献花した。森智広市長は「過去の被害を基に防災、減災対策を充実強化し、市民が安心安全な生活を送れるよう、最善を尽くしたい」と式辞した。

 富田一色町の鈴木幸子さん(87)は自宅で被害に遭い、夫や長女ら家族四人を亡くした。高潮が襲ったのは二十七日の未明。「屋根に上がれた私と母、長男が助かり、四人は倒壊した家の下敷きになった。大きな台風が来ると聞いていたのに、油断していた」と涙を浮かべる。各地で発生する風水害のニュースに胸を痛め「普段から意識し、早く逃げるように心掛けてほしい」と語った。

 市によると、四日市市内の死者は百十人余。一万四千五百六十一世帯が家屋の全壊や半壊、流失、床上浸水の被害を受けた。

◆流木にしがみつき 木曽岬

伊勢湾台風の犠牲者に玉串をささげる関係者=木曽岬町雁ケ地の木曽岬神社で

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 木曽岬町雁ケ地の木曽岬神社では、殉難者慰霊祭があり、関係者三十人が参列した。

 服部法雄さん(66)は当時小学校三年生で「寝ていたら父にたたき起こされ、抱えられて高見(中二階部分)へ逃げた」。しかし家屋は倒壊し、水にのまれて三キロ流された。祖父母と弟二人は命を落とした。「明け方、気が付いたら流木の上にしがみついていた。ちょっとのタイミングで弟たちと立場が変わっていたかもしれない」

 自らも被災した加藤隆町長は「当時の惨劇がまだ目に浮かぶ。悲しい出来事、そこから得た教訓を後世に継いでいくのが私たちの使命だ」と強調した。

 木曽岬町(当時木曽岬村)は全域が浸水し、全壊九十五棟、流失百七十一棟、半壊二百八十一棟の被害が出た。神社は伊勢湾台風の翌年、犠牲者と戦没者の鎮魂のために創建された。

◆自宅屋根で3日間 桑名

亡くなった人たちの冥福を祈り、焼香する参列者=桑名市長島町西外面で

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 桑名市長島町西外面の長島町平和公園では、伊勢湾台風遭難者法要が営まれた。関係者三十人が集まり、焼香をして犠牲者の冥福を祈った。

 遺族会長島支部監事の村上照夫さん(74)は「午後六時ごろから停電し、午後八時すぎにかんぬきをした戸を突き破って水が流れ込んできた。父親が天井を突き破って二階に逃げた」と振り返る。家族は無事だったが、全壊した自宅の屋根の上で三日間過ごした。「四日目に自衛隊がたくあんとおにぎりをくれるまで飲まず食わず。近所では八人も亡くなった」という。

 旧長島町は県内の自治体別最多の三百八十三人が犠牲になった。

 (遠藤康訓、大西里奈)

 

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