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「サ高住」入居前から育む輪  

「ゆいま〜る都留」の入居を検討している人向けの会合。新しい生活を思い描きながら交流する=東京都千代田区で

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 移住して新たな人生を始めるシニアが増えている。将来の健康不安を考えると、安否確認や生活相談が受けられるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は安心できる選択肢の一つ。入居前から希望者が集まってお互いを知る取り組みを、東京の運営会社が進めている。「違いを含めて分かり合うことで、末永いコミュニティーになる」と担当者は強調する。

◆気心知れ安心 暮らし主体的

 「入る前から気心が知れていると安心。生活の楽しみも増えます」。東京都品川区の女性(71)は楽しそうだ。山梨県都留市に九月オープン予定の「ゆいま〜る都留」。一月二十一日に都内で開かれた入居を検討している人向けの会合には、十一人が参加した。

 自己紹介の後、入居希望者で、既に東京から都留市内の別のアパートに転居している男性が現地の様子を説明した。「冬の朝は寒い?」「富士山は見える?」。物価の状況や近所付き合いまでさまざまな質問が出た。二〇一七年七月から始まった会合はこの日で二十回を数えた。

 女性は夫を在宅介護でみとり、今はマンションで一人暮らし。老いを考え、どんな場所でサービスを受けたいかインターネットで調べた。若い頃からハイキングをした山梨県がいいと、コミュニティネット社(東京)が運営する「ゆいま〜る都留」を候補にした。

 同社は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを支援する一般社団法人「コミュニティネットワーク協会」の協力で、サ高住を開所する際は事前に入居希望者の会を何回も開催している。床暖房を標準装備にするなど、出た意見を設計や運営に生かしている。

 都留のサ高住について、同協会理事長の久須美則子さん(63)は「住む人が主体になって作り上げる、参加型コミュニティー」と位置付ける。「シニアにとって住む場所や暮らし方を変えるのは身体的、精神的、経済的にもすごくエネルギーがいる。希望した先に転居しても、そこに問題があって出なくてはならなくなったら、ダメージが大きい」

 マンションに一人で暮らす横浜市の男性(65)は「万が一を考えてサ高住を選んだ」。昼間は介護職員初任者研修を受けた生活相談員が常駐し、夜間もすぐに対応してもらえる。「住む前から友人になれば心強い」と話した。

 同社はサ高住を「地域交流の拠点」とする。ゆいま〜る都留でも食堂を地域に開放するほか、地元の人も利用できる介護施設も併設する。

◆「自分らしく」の選択肢に 移住した作家・久田恵さん

「入居者たちは、晩年の生活を皆でデザインしてきた」と話す久田恵さん=栃木県那須町で

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 介護や高齢者の生活に詳しい作家の久田恵さん(71)は「自分らしい晩年を思い描き、選択肢を持ちたいと望む高齢者は増えている。参加型のサ高住はトレンドになるのでは」と話す。

 久田さんは昨年二月、栃木県那須町のサ高住「ゆいま〜る那須」に入居した。入居者たちは調理や運転、看護など自分の特技や職業経験を生かして施設内外で仕事をしていた。「多様な人が多様な暮らしをしている」と共感し、東京からの移住を決めた。久田さんも移住先で人形劇団を立ち上げ、地域で公演。「同世代で暮らす面白さを知った」

 伴侶を亡くしても子に頼らず生きる高齢者が増え、家族の形が変わってきたと感じる。「高齢者はお世話される存在でなく、主体的生活を選ぶ時代が来た」と久田さん。未知の土地で新たな人生を始めるには「入居前から知り合っていけば心細くない」と話す。

 (五十住和樹)

 <サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)> 安否確認や生活相談などのサービスを提供するバリアフリー構造の賃貸住宅。対象は原則60歳以上で、2011年10月から運営会社の登録が始まった。「ゆいま〜る都留」は2棟80戸。1カ月の費用は家賃3万円前後、生活サポート費3万円、共益費5000円。

 

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