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介護家族の現状を客観的に評価 ケアラーアセスメント

事例から分かる情報をシートに書き込み、介護者が抱える問題を分析する参加者たち=東京都内で

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 家族を介護する人をより効果的にサポートしようと、各地の介護者支援団体を中心に「ケアラーアセスメント」という取り組みが広がっている。要介護者本人だけでなく、介護する配偶者や子どもの状況も把握し、それに基づいて支援策を練る。これまで、支援の対象とされてこなかった介護者にも目を向けることで、介護に行き詰まる人を減らす試みだ。

 「娘さんがどんな介護をしたいのか、ケアマネジャー(ケアマネ)が聞き取れていないのでは」。全国介護者支援団体連合会(東京)が一月中旬、都内で開いた研修会。関東地方を中心にケアマネら十三人が参加し、三班に分かれてある母娘の例を基に、ケアラーアセスメントに取り組んだ。

 ケアラーアセスメントは、家族らを介護する人の状況を客観的に評価する手法。介護者が現在抱えている課題や、本人がまだ気付いていないものの近い将来に顕在化する可能性がある問題を洗い出し、最適な支援につなげる。家族を介護する人の支援は近年、必要性が広く認識されるようになり、各地にケアマネや介護、医療の関係者による支援団体ができている。

 検討した例は、認知症で要介護5の母(80)と、一人で介護する同居の娘(33)の親子。娘は仕事に出掛ける日中、母がトイレや台所に行きやすいようにと廊下に布団を敷いて寝かせていたが、帰ってくると粗相をしていることもあった。ケアマネらはショートステイの利用を提案したが、娘は「母と一緒に暮らしたい」との考え。一方で「貯蓄が減っていくため仕事を始めたばかり。夜間は寝具の洗濯と床掃除に追われて眠れず、体力の限界」という悩みも抱えていた。

 参加者たちは、班ごとにシートを広げて作業。このシートは、連合会が昨年作成した冊子「ケアラー支援の基本手引き−ケアラーアセスメントガイド」に添付されている。五枚にわたり、心身の健康や介護の現状、就労状況など十項目が記載されており、参加者たちは項目ごとに詳細を記入。眠れないのは時間がないだけでなく「うつの傾向か」、ショートステイの利用に消極的なのは「費用の心配があるためか」などと分析した。

 これまで介護分野でのアセスメントは、要介護者が受けるサービスを決めるため、本人の心身の状態などを評価するのにとどまってきた。家族は介護の担い手で、どれくらい介護できるかという視点から見られてきた。しかし、アセスメントづくりの中心となった愛知県春日井市のNPO法人「てとりん」代表岩月万季代さん(51)は「介護者の人生も大事。抱える困難を洗い出し、行政サービスにつなげたり、家族関係を見直したり、具体的な支援につなぐことが必要」と話す。

 二〇一六年から二年間、全国の支援団体が受けた相談や支援状況を聞き、多くの介護者が抱える問題や、そうした問題を抱えるようになった経緯などを整理して冊子を作った。シートは、厚生労働省の「市町村・地域包括支援センターによる家族介護者支援マニュアル」でも紹介された。

 研修会の時間内で、各班ともシートを埋めることはできなかった。初めて参加した横浜市のケアマネ、山近あゆみさん(49)は「家族の話を整理する上でもシートがあるといい。介護者支援の考え方は忘れないようにしたい」と話す。同じく初参加で、認知症カフェの研究をする早稲田大大学院修士課程一年、熊谷綜一郎さん(23)は「ケアマネがいないところで、ぐちを話せる介護者もいる。介護者が本音を語れる場づくりも必要」と話していた。

 (出口有紀)

 

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