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福祉用具活用し負担軽減 腰痛めやすい介護の現場

【スライディングボード】車椅子とベッドの間に渡して移動させる方法を実演する篠田さん(奥)=愛知県江南市で

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 介護する人を悩ませることの一つが腰痛だ。車椅子からベッドへの移動で抱きかかえたときなどに、介護者の腰にかかる負担は相当に大きい。ベッドに横付けできる車椅子や、車椅子とベッドをつなぐ板などの用具を活用すると、腰への負担は軽減できる。腰痛対策に取り組む介護のプロに、家庭でも実践できる方法を教えてもらった。

 「車椅子からベッド、トイレへの移動など、介護する人は抱き上げたり、前かがみになったりすることが多く、腰を痛めがち。福祉用具を上手に使うと、負担を軽減できます」。愛知県江南市の介護老人保健施設「フラワーコート江南」職員の篠田明さん(47)は言う。同施設は職員の腰痛予防策として、ノーリフティング介護を進めており、篠田さんは、他の施設の介護職たちにも腰を痛めない方法を教えている。

 家族を介護する人が気を付けたいのは、まず車椅子からベッドへの移動。車椅子に座っている家族の脇に手を入れて抱き上げている人は少なくないだろう。しかし、この方法は介護者の腰に大きな負担がかかる。そこで篠田さんが勧めるのが、肘掛けを上げたり下げたりできるタイプの車椅子と「スライディングボード」の活用だ。

 ボードは、長さ六十センチほどの長方形の板。肘掛けを上げ車椅子とベッドの間にボードを渡す。車椅子からボードへ横に滑るように移らせ、さらにもう一度、ボードからベッドに横移動させる。「これなら持ち上げる必要がないので、腰に負担がかかることはありません」と篠田さんは言う。

 寝ている人がベッドの下の方に寄りすぎてしまったときに、元の位置に直すのも力の要る介護。こんなときは、表面がつるつるした「スライディングシート」を利用するといい。寝ている人の下にシートを敷き、移動させたい方向に引っ張る。篠田さんは「介護する人の負担が減るだけでなく、介護を受ける人にとっても、床擦れ防止になります」と推奨する。

【スライディングシート】寝ている人の下に敷いて移動させる=愛知県江南市で

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 重要なのは、介護する人の姿勢。背中を真っすぐに伸ばし、足を前後に広げて腰を落としてシートを引く。手の力だけで引っ張ると、結局、腰に負担がかかってしまう。

 認知症で寝たきりの要介護5の妻(74)を七年前から自宅で介護する東京都文京区の春名正昭さん(79)は、当初は布団に妻を寝かせていた。だが、腰痛がひどくなり、六年前から高さや背もたれの角度を変えられる電動ベッドを、介護保険を使い一割負担でレンタルしている。「オムツ交換の時など、自分が使いやすい高さに合わせられ、腰痛予防に欠かせません」。レンタル費用は車椅子などと合わせて月約三千円という。

 肘掛けを動かせる車椅子やスライディングボードも、介護保険でのレンタルが可能。名古屋市西区の「レンタル介心」は、一割負担の場合、スライディングボードは月百円程度、車椅子は月五百五十円から貸し出している。

 同社代表の今泉行雄さん(54)は「車椅子に移動する際、ベッドに支えとなる手すりが付いているかどうかなど、ちょっとしたことで介護する側もされる側も負担は軽くなる。福祉用具をうまく活用してほしい」と話す。

 (細川暁子)

 

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