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<わたしの転機> 社会福祉士の資格取得、若者の学習や就労支援

キートスの利用者と談笑する向井卓さん=東京都調布市で

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 東京都調布市の向井卓(ひろし)さん(70)は、不登校の中高生ら、生きづらさを抱える若者たちの学習や就労を支援している。長年、技術者として勤めた会社を定年退職後、社会福祉士の資格を取得。若者たちと関わり、支える意義を感じる日々だ。

 昨年三月、市内のNPO法人が運営する十〜二十代の若者たちの居場所「Kiitos(キートス)」を見学しました。不登校や家庭に居づらい子どもたちが安心して過ごせるようにと、八年前につくられた場です。そこで「学習支援を手伝ってもらえないか」と声を掛けられました。びっくりしましたが、それ以来、スタッフとして週二、三回の学習支援などに関わっています。

 すんなりと入っていけたのは、その二年前、通信制大学で社会福祉の学位を得て、社会福祉士の国家資格を取得していたから。四十年以上、原子力関係の技術者として働き定年を迎えた時、「これからの人生は、いままでとは違う分野の人たちとの出会いを増やしたい」と考えたのが、社会福祉を学ぼうと思ったきっかけです。

 私の身辺でも、離れて暮らす母親に認知症の症状が見られるようになり、福祉に目が向きました。特別養護老人ホームでの実習で、専門知識や技術を身に付ければ、認知症が進んでコミュニケーションが難しくなった人も元気づけられることを実感しました。

 でも、福祉を学ぶ中で最も気になったのは、日本の子どもや子育て世帯に対する福祉水準の低さでした。貧困や家族関係の問題などが影響して、教育や経験の機会が十分でない子どもが多くいる。置き去りにすれば、いずれ社会の土台が崩れてしまう。そんな思いが強くなっていったのです。

 キートスでは今、貧困家庭の高校生らに数学や物理を教えています。児童養護施設で育ち、高卒認定資格を目指している二十代の青年は、この秋にも全科目の合格を目指します。

 精神疾患のある青年に一年間伴走し、就職をかなえたこともありました。直接「ありがとう」の言葉はなくても、採用を知らせてくれたことがその気持ちだと感じられ、うれしかったです。さまざまな背景を持つ若者がほっとでき、自分の足で歩んでいくための力になれたらと思っています。

 (小林由比)

 

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