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禁煙は専門外来受診を 薬処方で禁断症状も軽減

禁煙補助薬を手に、ニコチン依存症について語る村松弘康院長=東京都中央区の中央内科クリニックで

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 肺がんや脳卒中などの発症リスクを高めるだけでなく、周囲にいる人の健康も害する喫煙。二年後の東京五輪を控え、従業員のいる飲食店を原則禁煙とする東京都の受動喫煙防止条例が可決されるなど各地で対策が進む。愛煙家への風当たりは厳しくなる一方だが、たばこをやめようとしてもなかなかやめられない人も。専門家によると、自力で禁煙できる人は一割にも満たず、医療機関で禁煙外来の受診を呼び掛けている。

 「禁煙外来に通い始めたらたばこがおいしくなくなり、すんなりやめられた」。東京都昭島市の会社員女性(43)が振り返る。

 喫煙歴は二十三年。かつては一日一箱を吸っていた。十年ほど前から禁煙を試みたがいつも挫折していたため、ことし一月、東京都中央区の中央内科クリニックを訪ね、初めて禁煙外来を受診した。

 診察した村松弘康院長からは、たばこを吸いたくなったら深呼吸して気持ちを切り替えるなどの指導を受けたほか、禁煙補助薬のチャンピックスを処方された。チャンピックスは、ニコチンによる禁断症状や喫煙の満足感を抑える効果がある。吐き気などの副作用があるため、当初は一日一回半錠分の服用で体を慣らし、四日目からは半錠分を二回、八日目からは一錠二回と徐々に増やして二カ月間服用した。

 効果は初日から表れた。たばこを吸っても味がしない。村松院長から「最初の二週間はあまり我慢せず、吸いたくなったら吸ってもいい」と言われたが、次第にたばこに手が伸びなくなり、十日目からは一本も吸わなくなった。

 チャンピックスの場合、治療に三カ月かかるのが一般的だが、女性は早くやめられたため、二カ月で治療を終えた。その間に計四回、クリニックを受診。そのたびに測定した呼気に含まれる一酸化炭素(CO)の濃度は確実に減っていった。女性は「禁煙の効果が実感できてうれしかった。初めて禁煙できたので、このまま続けていきたい」と話す。

 日本禁煙学会専門医でもある村松院長は「たばこをやめられないのはニコチン依存症になっているから。本人の意志が弱いからではなく、適切な治療が必要です」と話す。

 禁煙外来は通常、保険適用され、女性の自己負担は四回の受診で薬代を含め一万五千円ほどだった。この間、かつて吸っていた一箱四百五十円のたばこを一日一箱のペースで吸い続けていれば、三万円近くかかっていたことになる。女性は「治療を始めたらたばこ代が浮き、逆にお金がたまって驚いた」と話した。

◆2、3カ月で8割が成功

 村松院長によると、たばこに含まれるニコチンは脳に作用し、快感をもたらす物質ドパミンを放出させる。このため、ニコチンが切れると、イライラしたり気分が沈んだりといった禁断症状が出る。

 禁煙外来では、二〜三カ月間、禁煙補助薬を使って禁断症状などを抑えるほか、朝起きた後や食後などにたばこを吸いたくなる時には代わりに歯磨きをして気分転換するなど、生活習慣を見直すよう指導。たばこへの依存を弱めていく。

 中央社会保険医療協議会の調査では、禁煙外来の治療が終わった時点で、八割の人が禁煙に成功している。一方、治療なしで自らの意志だけで臨んだ場合は一割にも満たず、禁煙外来の効果が際立つ。

 禁煙補助薬には、飲み薬のチャンピックス以外に少量のニコチンを貼り薬で体に取り込むニコチンパッチがある。保険適用された場合の自己負担は、ニコチンパッチを使うと通常、二カ月で一万三千円、チャンピックスでは三カ月で二万円ほど。村松院長は「たばこを吸い続けた場合に比べて負担は大幅に軽い。これまで禁煙に失敗してきた人も諦めず、禁煙外来で治療してほしい」と話している。

 (河野紀子)

 

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