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90歳、音読が生きがい 東海テレビHP「くらしの作文」に声合わせ

作文を毎日音読している河合みさをさん(右)と庄野俊哉さん=岐阜県郡上市で

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 声を出して文章を読む「音読」。脳を活性化させ、認知症予防に役立つことが知られてきたが、書き手の気持ちを思いやりながら作文を音読すると、生活の潤いとなったり前向きな気持ちになったりもする。「作文の音読が生きがい」という岐阜県郡上市で暮らす九十歳の「音読おばあちゃん」を訪ねた。

 「音読おばあちゃん」とは、河合みさをさん。毎朝六時に起きると、ベッドに入ったまま携帯端末のiPad(アイパッド)を開く。お目当ては、東海テレビ(名古屋市)のアナウンサー庄野俊哉さん(52)が作文を読む「庄野アナと新聞を音読してみよう!」というホームページ(HP)。

 作文は、中日新聞生活面(名古屋本社発行分)に掲載されている「くらしの作文」。読者がつづった作文を毎日一本紹介する。HPは基本、毎朝更新される。当日の朝刊に載っているのと同じ作文の音読が聞け、文章も画面で読める。

 河合さんは補聴器を使って、まず音読を一回聞く。その後、文字を指でなぞりながら、庄野さんの声に合わせて一緒に作文を音読する。今月一日は戦争がテーマの「『平和の詩』に思う」という作文だった。

 「私の次兄もフィリピンで腕に爆弾を受け、飢えと苦しみの中、戦死しました。一緒に戦われた同郷の戦友の書かれた文で、兄の壮絶な最期を知りました」

 河合さんの兄もフィリピンに出征し、乗っていた巡洋艦が攻撃されて亡くなった。音読しながら、兄から「これから船に乗る。今度は帰れないかもしれない」という手紙が届いたことを思い出したという。

 「目で読むだけではスッと通りすぎてしまう。でも声に出して読むと、気持ちが入る。『この方も苦労されたんだなあ』と書いた人を身近に感じ、自分も頑張ろうと思える。すっかり音読が生きがいになっています」とほほ笑む。

 俳句や詩を作ることも好きで、三年前には市のコンテストで入賞を果たした。音読をすることによって、創作意欲も高まっているという。

 庄野さんがHPを始めたのは二〇一五年十月。今月二十三日に千回目を迎える。河合さんは「老いて幸せを満喫しています」などと、HPを通じて二十回ほど庄野さんにメッセージを送った。コメントに自分の顔写真を添えたこともある。庄野さんも「河合さんに励まされてきた」という。今月上旬には庄野さんが河合さんの自宅を訪れて対面を果たし、一緒に作文を音読した。

 庄野さんは、音読の講座を名古屋市内などで開催し、音読を生かした高齢者の健康、生きがいづくりに努めている。「音読を通じて縁が広がっていくことを願っています」と話す。

◆認知症の予防に効果

 日本認知症予防学会理事長で、鳥取大医学部の浦上克哉教授は「音読は目と口、耳を刺激することで認知症予防の効果が期待できる。さらに、声を出して喉を鍛えることで、誤嚥(ごえん)性肺炎の予防にもつながるのではないか」と話す。

 浦上教授は「感動」や「懐かしさ」の要素が含まれている文章を音読の題材に選ぶと感情移入しやすく、長く楽しく続けることができると指摘。昔話などの本や新聞の読者投稿欄が向いているという。浦上教授は「一人暮らしなど、社会との交流がない人ほど認知症になりやすいとのデータもある。何人かで一緒に音読するのが理想的」と話す。

 (細川暁子)

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