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<少女を守れ! 電脳時代の性> (下)アウトリーチ活動 

着ぐるみ姿で街頭活動をする全国こども福祉センターのボランティアたち=JR名古屋駅西口で

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 夏休みに入ったばかりの土曜日の夜。JR名古屋駅西口で、動物の着ぐるみ姿の若者十数人が、ポケットティッシュやパンフレットを配りながら、汗まみれで声を張り上げていた。

 「高校生、大学生たちが、非行防止の街頭活動をしています」「募金にご協力を」。同駅近くに事務所を構える全国こども福祉センターの週末定例の活動だ。

 夜の街を歩く少女たちに、メンバーが声をかけ「レクリエーション活動もやってるから遊びに来ない?」と誘う。相談されるのを待たず、出向いて声をかけていく「アウトリーチ」といわれる活動だ。

 理事長の荒井和樹さん(36)は「女の子たちが、ネットを通じて危ないアルバイトや援助交際をするのを防ぐのは難しい。ただ、街に出てくる少女たちを引き込むことで、少しでも歯止めになれば」と話す。参加しやすいように、バドミントン、フットサルなどのスポーツ会、子ども食堂など年間二百五十回ものイベントを開いている。

 中学校時代に不登校を経験したという県内の女子高生(17)は、ネットで同センターを知り、参加するようになった一人だ。家では動画配信アプリ「ツイキャス」にはまっている。部屋でスマートフォンで自分を撮りながらおしゃべりする“ひとり放送局”。ユーザーからはコメントが続々と届き、それに返事をする。会ったこともない常連たちが「かわいい」と書き込んでくれるのはうれしいが、強引にデートを迫られたりしたこともある。

 同センターの活動に参加するようになった今も、ツイキャスは続けている。だが「やっぱり顔の見える関係が一番安心。相談もできるし」とも思う。

   ◇ 

 東京で、少女たちを支える活動を二〇一一年から続けている一般社団法人Colabo(コラボ)は、秋から大型バスを使ったアウトリーチ活動を始める。

「街に少女たちの居場所を設けたい」と意欲を燃やす仁藤夢乃さん=東京・新宿で

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 役所と交渉し、ネオン街の近くに定期的にバスを止めてテントを張り、スタッフが常駐。訪れる少女たちと一緒にご飯を食べ、相談に乗ったり、衣類などを提供したり、性暴力の被害者の駆け込み寺の役割も、と考えている。

 代表の仁藤夢乃さん(28)は韓国の団体の取り組みに感銘を受け、赤い羽根福祉基金の助成でバスを購入。今は、車内を改装して台所、フリースペースなどを設けている最中だ。

 仁藤さん自身、親と折り合いが悪く、十代のころは東京・渋谷の繁華街で夜を過ごした。段ボールを敷き、仲間と雑魚寝したりもした。警察の補導や店舗の規制が厳しくなって、今の東京には子どもたちが深夜にたむろする場所はない。

 「それでも家にいられない子たちは街に出てくるから、悪い大人が『泊まるところある?』『アルバイトしない?』などと声をかけてくる。仲間もいないし、街で生き抜く情報も共有していないから、本当に怖い。だからバスが必要」と仁藤さん。

 少女たちを守る試みが続く。

 (編集委員・安藤明夫)

 

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