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子への注意に一工夫 「困っている人は誰か」意識して

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 子育てに追われ、つい声を荒らげてしまう親も少なくないはず。よかれと思って注意したのに、親の思いが伝わるどころか、子どもから「うるさい」「やる気がなくなった」などと反抗的な態度を取られ、イライラは募るばかり。四十年近くにわたって、親の役割を果たすための講座を開いている親業訓練協会(東京都渋谷区)によると、こんな時はまず、困っていたり悩んだりしているのは誰なのかを考えてみるといいという。

 「親業」は子育てのことを指す。同協会企画室の中村ますみさんは「『親』というのは素晴らしい仕事」としつつ、「一日二十四時間労働で、能力や努力を必要とする仕事なのに、何の訓練の場もない」と話す。

 米国の臨床心理学者、故トマス・ゴードンさんは、問題行動を起こす子どもと接する中で、問題はむしろ本人より親にあると考えた。親の役割を効果的に果たすため、「聞く」「話す」「対立を解く」を柱にした親の訓練プログラムを創案。一九六二年に米で始まった訓練講座は、今では世界約五十カ国に広まった。日本でも八〇年に協会が発足した。

 具体例を見てみる。「テストの点数が悪かった。もう勉強なんかイヤだ。やらない」とかんしゃくを起こす子どもに、何と言うか。

 「ゲームばかりしていたあんたが悪い」「勉強しないと、もっと駄目になるよ」

 親は「何とかしてあげたい」という思いから、ついこうした言葉をかけてしまう。だが、いずれの言葉がけも子どもに親の愛情が伝わるどころか、反発や自己否定を引き起こし、傷つけ合うことにもなるという。

 では、どう接すればいいのか。親業の考え方では、まず「問題所有者」を明確にする。つまり今、困っている人、悩んでいる人、イヤだという否定的な感情になっている人は誰かを考える。

 前述のケースで、「今困っているのは、かんしゃくを起こしているこの子」と親が判断した場合、子どもの言葉にしっかり耳を傾ける。「がっかりなんだね」といったん受け止め、共感を示す。「問題所有者」である子どもが、自分で問題を解決できるよう、親はうまく手助けしてあげることが肝心だ。

 中村さんは「自分に置き換えてみると分かりやすいですよ」と話す。「『今日は疲れた。お皿洗いたくない』と言った時、夫に『主婦だったらやるのは当然だろ』なんて言われると、ますますやる気を失います。『疲れてるんだね。やりたくないんだね』と言われれば、違います。少し休んだら、やろうかなと思うかも。子どもも同じ。理解されていると実感することで、意欲がわいてきます」

 では、子どもが服を脱ぎ散らかした時はどうか。この場合、困っているのは本人ではなく親。だが「脱ぎっ放しにしないで!」などと「あなた」を主語にして言葉がけをすると、攻撃的な印象を与えてしまう。

 困っているのは自分なのだから、主語は「私」。「脱ぎ散らかされると、(私は)洗濯し忘れて二度手間になるから困るの」など、どう自分が困るか具体的な影響を伝えると、子どもも行動を変化させやすい。

 中村さんは「親業の考え方は、子どもの自立心を育むだけでなく、親子以外でも、互いに理解、尊重し合う関係をつくるのに役立つでしょう」と話している。

 (砂本紅年)

 

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