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<わたしの転機> 教員定年退職後、公民館長に

文化展の出品作を並べ「地区の人たちがそれぞれ、人生を楽しんでいることを知ってもらえれば」と話す竹本利夫さん=石川県加賀市の三木公民館で

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 石川県加賀市の元小学校長竹本利夫さん(69)は定年退職後、地元の三木公民館長になった。当初は固辞したものの、公民館を子どもも大人も気楽に集える「茶の間」にしようと、工夫を重ねている。次第に交流が深まっていく地域の様子に、竹本さんも人生の楽しみを見いだしている。

 一九七二年から三十六年間、市内の小学校や特別支援学校に勤め、定年までの十五年間は教頭と校長を務めました。その間、評価というものにずっと違和感がありました。子どものよさはたくさんあるのに、通知簿には限られた一つの面についてしか書けない。管理職として教員を評価する際も同じです。ですから、退職した時は、これからは、良いところも悪いところも丸抱えで人を見ると決めました。

 公民館長を打診された時は、以前から観光ボランティアガイドを養成する活動に仲間と取り組んでいたこともあり、いったんは断りました。現役時代は家には寝に帰るだけでしたから、地域とのつながりが薄い自分にできるのかと、自信もありませんでした。

 でも、一期(二年)だけならと引き受けてみると、教員時代の経験が生きました。それは、地域の人に得意分野のことを子どもたちに教えてもらったことです。教頭を務めた小学校では、釣りが趣味の人に先生になってもらって釣りクラブをつくりました。初日は、朝に出発した一行が夕方まで帰ってこず、はらはらしました。でも、子どもたちは白山のふもとまでイワナ釣りに行って、生き生きとして帰ってきました。教師は活動の成果ばかりを考えますが、地域の人たちは子どもをそのまま見て、評価もしません。

 今度は公民館が中心となり、子どもと大人を結びつけようと思いました。地域で人望のある人に「子どものために、いい人を紹介して」と頼み、二〇〇九年から土曜日に、焼き物や茶道などの教室を開いています。

 毎年十一月には公民館で文化展も開き、住民の作品を展示します。良しあしは競わず、それぞれが人生を楽しんでいることを知ってもらうのが目的です。

 以前はお年寄りが多かったのですが、子どもたちも遊びに来るようになりました。自分がしたことで人に喜んでもらえたり、皆で楽しみを共有できるようになったりする。人生の楽しさは、人とのつながりの中にあるんですね。

 (出口有紀)

 

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