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施設で「介護×美容」の試み

美容師のカットに「ありがたいねえ」と顔をほころばせる女性(手前)=東京都文京区で

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 介護に美容の要素を掛け合わせ、要介護者の満足度はもちろん、働き手のやりがいとスキルも高めよう−との動きが、介護と美容の両業界で広がっている。来春には、介護職員研修と美容講座を一カ所で学べる社会人向け学校も東京都内に開校予定。人手不足に悩む介護業界に、新たな人材を呼び込む試みとしても注目されている。

 人材コンサルティング会社「ミライプロジェクト」(東京都)は来春、介護と美容を学ぶ社会人向けの各種学校を開校する。通信講座と組み合わせた介護職員の初任者研修に、マッサージなど美容の要素も取り入れた講座を一カ所で学べるのが特徴。夏からは美容師向けの訪問美容のコースも始める。一講座の定員は約三十人で、期間は三カ月から半年間を予定している。

 同社広報の中野路子さんは「美容を日々のケアに生かしてほしい」と開校の目的を話す。気持ちが明るくなるといった要介護者への好影響や介護職員のやる気向上はもちろん、美容師の資格を持ちながら出産などで仕事から離れている「潜在美容師」らが、介護業界に興味を持つマッチング効果も期待できるという。

 開校に先立ち今秋、同社は都内で介護と美容の未来を語るイベントを開催。介護施設の施設長やエステティシャンらが話し、約八十人が熱心に聞き入った。

 神奈川県で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人「愛川舜寿会」の馬場拓也常務理事は、介護職の仕事を「お年寄りの生活に小さな幸せをつむぐこと」と表現。そこには美容も含まれるとして「美を諦めない、諦めさせないことが大切」と訴えた。

 認知症の人の化粧などをしている「メイクセラピスト」の大平智祉緒(ちしお)さんは、化粧療法で高齢者やがん患者らの気力が高まった例などを紹介。簡単なマッサージでも「その人に寄り添うツール、言葉ではないコミュニケーションとして取り入れられる」と話した。

◆美容師訪問 入所者の思い大切に

 介護を受ける本人の「思い」を大切にするため、ライフヒストリーの聞き取りに趣向を凝らした美容イベントが今夏、都内で開かれた。小規模多機能型居宅介護事業所「ユアハウス弥生」(文京区)などが主催し、利用者の四十五〜八十九歳の男女七人に、美容師らがカットやカラー、パーマを施した。

 イベントに先立ち、介護職員が利用者本人や家族と話した上、昔の写真などを使って三分程度の人物紹介の映像を作ったのが特徴。イベント当日には美容師らがこの映像を見た後、本人とも話して「イタリア旅行した頃の髪の色に」「若い頃に流行した髪形に」などの方針を決めた。

 企画した介護福祉士の森近恵梨子さん(27)によると、準備中に写真で記憶が呼び起こされ、利用者が普段より快活に話すというおまけもあったという。

 美容師らは、利用者と和やかに話しつつ、手早く髪を切ったりパーマをかけたり。化粧やマニキュアもして約一時間で仕上げた。利用者は「かわいい? ありがとう」「ものすごくいい」と笑顔を輝かせていた。

 (竹上順子)

 

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