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<なるほど車いす>(下) 段差、力に頼らず重心移動で

ティッピングレバーに足をかける

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 車いすの基本的な構造と、坂を上り下りするときの押し方を習った前回(八日)に続き、今回は段差の越え方を学ぼう。ポイントは、介助者の足下付近にある「ティッピングレバー」(ステッピングバー)を使いこなすこと。教えてくれるのは引き続き、日本ケアフィット共育機構(東京)認定のサービス介助士インストラクターを務める名古屋大原学園(名古屋市中村区)の大溝明広さん(49)だ。

 少々の段差なら、ガツンとなってもそのまま押し上げればいいと思うかもしれないが、大溝さんは「たとえ五ミリの段差でも、そのまま押すとキャスタが引っ掛かるので乗っている人には大きな衝撃が伝わります」と言う。ティッピングレバーは、車いすの左右の大車輪の内側にそれぞれ備わり、介助者が利き足を使って操作できる。越えられる段の高さは、大車輪の半径を超えないのが目安だ。

 では、介助者はどうしたらよいか、手順を細かく見ていこう。段差に向かってゆっくりと進み、車いすの前方が段差に接したところで一時停止。ここからティッピングレバーの出番だ。レバーに足を乗せて前方に押し出しながら、両手でハンドルを手前に引く。「てこの原理を使うので、腕力が弱い人でも上げられます」と大溝さん。試しにやってみると、さほど力を込めなくてもキャスタは上がった。

足を車いすの下に入れ静かに大車輪を下ろす

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 キャスタを段の上に乗せたらゆっくりと押し、後ろの大車輪が段差に接したところで再び停止。次は大車輪を上げなければならない。大切なのは「腕の力に頼るのではなく『重心移動』を使うこと」。まず、車いすに向かって横向きに立ち、車いす側の足を、太ももを背もたれに添わせるようにして奥に入れる。そして、重心を車いす側に動かすと、人が乗っていてもスムーズに段に上がることができた。

 下りるときは、下り坂と同様、段差の下側に介助者が回り、後ろ向きに下りること。車いすを自分の太ももに引き寄せて、そのまま大車輪をゆっくりと下ろす。そして、キャスタを段差の縁まで引いたら、ティッピングレバーを使ってキャスタを浮かせて下ろせばいい。キャスタが地面に着くまで、レバーから足を離さないようにしよう。

 あらゆる状況で大事なのは、車いす利用者へのこまめな声掛け。「何も言わずに操作すると、利用者に不安を与えたり、『怒っているのでは』と思われたりする」。一つ一つの動きに合わせて「後ろに傾きます」「ちゃんと支えていますので安心してください」など、積極的に声を掛けることが信頼関係を築く上で欠かせない。介助を始める際は、威圧感を与えないように利用者の斜め前にしゃがんで目線を合わせ、「よろしくお願いします」とあいさつしよう。

 「『やってあげる』ではなく『させてもらう』という気持ちが大事。介助者がうれしいと思ってやれば、その気持ちはきっと利用者に伝わります」と話す。

 (河郷丈史)

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