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英旅行家・バードに思いはせ 名大ワンゲル部OBが紀行本

イザベラ・バードの足跡をたどった旅について話す(左から)佐藤信一さん、岡田常義さん、立松和宏さん=東京都千代田区で

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 明治初期、横浜から北海道までを徒歩や馬で旅した英国の女性旅行家イザベラ・バード(一八三一〜一九〇四年)。名古屋大ワンダーフォーゲル部の六十〜七十代のOBら十九人が、バードが歩いた峠道を中心にその旅路をたどり、紀行文やエッセーを本にまとめた。「ザック担いでイザベラ・バードを辿(たど)る」のタイトルで、九月に出版した。

 バードは一八七八(明治十一)年、五十歳を前に来日。横浜から関東を北上して福島、新潟、山形、秋田、青森を経て、三カ月後にアイヌ民族が暮らす北海道道央の平取町に到達した。開国から間もない異国の地で、険しい峠道を越えた。

 名大ワンゲル部のOBらは、担当区間を分けて東海道を歩いてつなぐなどして旧交を温めており、バードの旅もその一環。今回、参加した十九人は、関東、東海、関西と住む地域はさまざま。

 中心となって本をまとめた川崎市高津区の岡田常義さん(73)は「男性でもためらうような旅を、外国人の女性が成し遂げたのはびっくり。その旅の一端が感じられればと思った」と、企画の狙いを説明する。

 ルートは、バードが通った中から当時の面影を感じられそうな峠道を選んだ。一度に全ルートを踏破するのでなく、二〇一三年五月から一七年五月にかけて、年二回ほどのペースで集まり、新潟県関川村と山形県川西町を結ぶ「越後米沢街道・十三峠」など二十五の峠を越えた。「金谷カテッジイン」として当時、外国人向けの民宿だった現在の金谷ホテル歴史館(栃木県日光市)など、バードの滞在地や立ち寄ったスポットも見て回った。

 岡田さんは、行程や訪問時の印象、地元の人たちとの交流などを、バードが記した「日本奥地紀行」の記述を引用しながらつづった。例えば、一三年五月に訪れた関川村の集落は、ヤエザクラなどが咲き誇る美しい山村。岡田さん自身は「桃源郷のようなところだと思ったが…」としながらも、実はバードは宿の設備や食事に辛口な評価をしていたことを、ユーモアを交えて紹介した。

 病を抱えながら峠越えに挑んだ人もいた。静岡県藤枝市の佐藤信一さん(68)は四年前に胃がんが見つかったが、「体が動くうちは、好きなことをして過ごそう」と参加を決意。若いころから潰瘍性大腸炎を患い、五十歳で大腸を摘出してからは人工肛門を利用している。袋にたまった排せつ物を一日に何度も処理しながら、山を歩いた。

 バードは子どものころから体が弱く、脊椎の病気を患っていた。「ハンディがありながら、旅をした気持ちの強さはすごい。自分もバードのようになりたいと思った」。山の空気を吸って歩くうちに体調も良くなった。旅を終えた後も山登りをしに各地へ出掛けるのを楽しみにしている。

 ルート選びや宿泊先の手配など、まとめ役をした千葉県浦安市の立松和宏さん(70)は「仲間と一緒に旅を楽しめば、『シルバー』が『ゴールド』に変わるんだと、この本を通じて伝えたい」と話している。

 書籍はA5判百八十ページで二千二百円(税別)で、あけび書房が出版。全国の書店のほか、Amazonなどインターネットでも販売している。(問)あけび書房=電03(3234)2571

 (河郷丈史)

 

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