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<わたしの転機> 営業マンから校務員、定年後に庭園で茶席亭主に

茶室で抹茶をたてて来園者をもてなす森竹弘さん(右)=名古屋市熱田区の白鳥庭園で

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 名古屋市で最も広い日本庭園の白鳥庭園(熱田区)。スイレンの咲く水辺に数寄屋建築の茶室「清羽(せいう)亭」がある。校務員を退職後、庭園の職員になった森竹弘(たけひろ)さん(76)は茶室を管理しながら茶道の知識を深め、現在は月1回の茶席で亭主となって市民をもてなしている。

 六十三枚ある雨戸を開けることから一日が始まります。ここから眺める景色は飽きることがありません。「庭屋一如(ていおくいちにょ)」という言葉がありましてね。庭と建物が調和して共存しているという意味です。どちらかが偉いのではなく、平等だから心地いい。ここは「天国に近い職場」。働けることに本当に感謝しています。

 三十九歳の時に転職して校務員になったことが最初の転機でした。特殊鋼をつくる会社で営業をしていましたが、家族に事情があって、より安定した仕事に就きたかった。住み込みだった校務員の通勤が認められた時期です。市の広報を見てすぐに応募しました。

 給料は三割ほど減りましたが子どもが好きだったし後悔はありませんでした。中学校と小学校で十年ずつ勤めました。やんちゃな子が信頼してくれて、壊れたトイレを直したら、後は大事に使ってくれました。定年後に図書館で三年働き、次の職場として紹介されたのが白鳥庭園でした。

 三年前から第三水曜日に職員手作りの「おもてなし茶席」を開いています。清羽亭では、茶道の先生を招いて年十回ほど市民茶会が開かれます。有料で貸し出しもしていて茶道教室の茶会や演奏会、写真撮影も連日行われます。一方で庭園を見に来た人が入れる機会は少なくなった。清羽亭も見てほしいと思い、茶席の開催を提案しました。

 これが二度目の転機で、言いだした私が亭主をさせていただくことに。知識は本で学び、先生が指導しているのを見聞きした程度です。心得はありませんが、心を込めておもてなしをしようと考えました。夏は扇を飾るなど四季に合わせた準備でお客さまをお迎えします。抹茶はたっぷりたて庭や建物の話をします。

 社会の授業で訪れた小学生にお茶を教えたこともあります。背筋がピンと伸びてきて。元気にあいさつをして帰って行きました。なぜお茶はおいしいのでしょう。茶わんを両手で優しく抱きかかえる。この動作が心を穏やかにし、お茶をおいしくすると思います。この文化を子どもにも伝えていきたいです。

 (小中寿美)

 

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