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<子の幸せは?> 親権、「普段の世話」が主条件に

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 子育て中の夫婦が離婚や別居をしたとき、子どもの面倒をどちらが見るのか。この問題をめぐる争いが増えている。調停や審判では母親が親権などを持つことになるケースが多いが、中には父親を選ぶことも。母親からは「産んだ子どもと一緒に暮らせないなんて」と嘆く声も聞かれる。

 首都圏に住む四十代の女性は三年前、長男を出産。直後から育児への不安で眠れない日が続いた。心療内科で産後うつと診断されたため、子を夫に託し、療養のため実家に戻った。

 女性によると、それを境に夫の態度が変わったという。約一カ月ぶりに自宅に戻ると追い出され、荷物も女性の実家に送り付けられた。何度か二人で会ったが、「出産後に家事をしなかった」などと責められ、話し合いにならなかった。子には会えなかった。現在も離婚はしていない。

 別居から半年ほど後、女性は子どもを引き取って暮らすため、同居して面倒を見る「監護者」に自分を指定するよう家庭裁判所に申し立てた。

 しかし、家裁は父親を監護者に指定した。現状では子どもが父親側に安定的に監護されており、この環境を維持することが子の福祉にかなうと判断したからだ。一方で母親と暮らすと、保育園を移らねばならず、子どもを不安定な状況に置くことになるとした。

 女性は「裁判所は継続性の重視というが、現状を追認しただけ。どちらの親が子にとって良いかはまともに比較しなかった」と批判する。

 どちらが子どもと暮らすのかをめぐる裁判所への申立件数は、増加傾向にある=グラフ。子どもと暮らしたいと願う父親の増加などが背景にあるとみられる。二〇一五年の司法統計によると、未成年の子のいる夫婦の離婚調停と審判の件数は計一万九千八百三十六件。ほとんどで親権者や監護者は母親が指定されているが、共働き世帯の増加や、家事・育児にかかわる男性の増加などで、父親が親権者や監護者となることもある。同年は、調停や審判の件数のほぼ一割に当たる千九百四十七件だった。

 子の親権者や監護者は、裁判でどのように決められるのか。関西学院大の山口亮子教授(家族法)は「裁判所は子の最善の利益を第一に考える」と説明する。

 判断する主な要件としては「子の面倒を主に見ていた者」「継続性」「親の寛容度」「子の意思」の四つをあげる。もちろんDV(家庭内暴力)や子への虐待があれば、判断に影響する。

 山口教授によると、戦後の高度経済成長期以降、母親の愛情や養育が子の利益にかなうと考えられ、子の面倒を見るのに母親が優先される傾向が強かった。しかし、最近は子の面倒を普段見ているのはどちらかがより重視されるようになってきたという。

 一方、子どもと一緒に暮らせなくなる親には不満や悲痛な思いが残り、裁判所への不信感につながっているとの指摘もある。

 山口教授は「裁判官も相当苦労して判断していると思われるが、現在の法律ではどんな事情があっても、両親のどちらか一方を親権者や監護者に決めなければならない」と話す。

 (寺本康弘)

 <親権と監護> 民法で規定。親権には、子どもの世話やしつけをする身上監護権と、子どもの契約に同意したり代理したりする財産管理権がある。婚姻中は父母がともに親権者となるが、離婚する際にはどちらか一方を親権者と定めなければならない。婚姻中だが別居している場合、子どもとの暮らしを認めてもらうため、監護者の指定を求めて審判を申し立てることがある。

 

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