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<食卓ものがたり> 雪たまねぎ(富山県)

掘り取られた「雪たまねぎ」を手にする斎藤忠信さん=富山県南砺市で

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 六月上旬の富山県南砺市の畑。雪に閉ざされた長い冬を越えて掘り取られたタマネギが、間もなく始まる出荷を待っていた。

 他の産地では雪のない時期に栽培することが多いが、ここでは逆だ。秋に苗を植え、数十センチも積もる雪の下でじっくりと待つことが名前の由来。雪に覆われた土は成長に適した温度に保たれる。春には雪解け水をたっぷりと吸い、肉厚でみずみずしくなる。「気候がもたらす恵みです」。生産者の斎藤忠信さん(77)は胸を張る。

 地元の「JAとなみ野」によると、もともと稲作が盛んだった同市や隣接する砺波市では米価の下落などで農家の所得が減少。代わりの作物を模索して、行き着いたのが「雪たまねぎ」だった。苗の植え付けは稲刈り後で、収穫は田植え後と作業が重ならない点が稲作もする農家にとって好都合だった。水田の一部を畑に変え、二〇〇八年から本格的に栽培を始めた。

 「でも、しばらくは苦難が続きました」と斎藤さん。丹精しても、ピンポン球より少し大きいぐらいにしか育たない。売れないことはなかったが、小さいため全体の収穫量は伸びず、「米に代わる稼ぎに」との期待に沿ってくれない。「全然、駄目じゃないか」。そんな嘆きが漏れていた。

 転機は四年目。「土壌の水分が多すぎるのが原因では」と、排水を促す小さな横穴を農機具で土の中に施して苗を植えると、真ん丸と大きい玉に。前年と比べて作付面積は微減していたのに、収穫量は一・八倍にもなった。斎藤さんは「稲作ばかりだったから、畑作のやり方がよく分からなかったんです」。

 今年の収穫見込みは五千九百トン(同JA管内)。初年度と比べると五十倍だ。全国有数のチューリップ産地として知られる一帯で、チューリップに続く特産品化を見据える。

 (文・写真、諏訪慧)

◆味わう

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 7月上旬から各地のスーパーなどで並び始める。煮崩れしにくいためカレーなどの煮込み料理もいいが、出回り始めは甘くみずみずしい風味を楽しみたい。薄切りにし、ぽん酢しょうゆとかつお節をかければ手軽にサラダに。アルミホイルで包んでオーブンなどで焼き、バターをのせてしょうゆをかけてもおいしい=写真。ミキサーにかけてオリーブオイルと酢を混ぜれば、ドレッシングにもなる。

 JAとなみ野では7月中旬からインターネットで通信販売を始める。価格は昨年同様、10キロで2300円ほど(送料別)の予定。

 

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