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冷蔵庫に「医療情報キット」 自治体が配布、持病や薬など記入

医療情報を入れる「救急医療情報キット」を手にする岡本多喜子教授

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 健康に不安を抱えている人や高齢者などが急病に備え、治療中の病気の情報や緊急連絡先などを容器に入れて冷蔵庫に保管する「救急医療情報キット」。2008年に東京都港区で配布が始まり、救急搬送される際に役立つと全国に広がった。各地の自治体なども無料配布を始めたほか、手作りでキットを備える人も増えている。

 「治療に必要な情報がすぐに分かり、素早い搬送につながる。救急隊や医療機関からも助かると言ってもらった」。明治学院大社会学部の岡本多喜子教授が効果を語る。

 救急医療情報キットは、米国オレゴン州で運用されていたシステムを参考に、岡本教授が港区に提案した。高齢化を背景に、救急車の出動件数が増える中、スムーズな搬送と救命率アップを図るのが狙いだ。地元の医師会や消防署にも協力を呼び掛け、導入にこぎつけた。

 五百ミリリットルほどのプラスチック容器に持病やアレルギーの有無、かかりつけ医などを書いた紙と健康保険証のコピー、服用中の薬リストなどを入れておく。冷蔵庫と玄関のドアに「救急医療情報キット」があることを示すステッカーを貼ることで、駆けつけただれもがキットを見つけることができる。

 例えば急病で倒れた場合、心臓発作なのか、糖尿病で低血糖状態になったのか、キットがあれば患者の病状が判断しやすく、駆けつけた救急隊員による患者や家族への聞き取りも短時間で済むため、搬送がスムーズに進むという。岡本教授は「冷蔵庫はどこの家でもあるので、捜す手間も省ける」と話す。

 港区では〇八年から、一人暮らしの高齢者を中心に希望する人にキットを無料配布。北海道や関東、東海、九州の自治体などもキットの配布を始めるなど、同様の取り組みは全国に広がっている。

 百円ショップなどで容器など材料を購入し、自分で作る人も。六年前に報道でキットの存在を知った京都市の女性(57)もその一人。同居する寝たきりの母が急病で救急車を呼んだとき、キットが役立ったという。「飲んでいる薬などは家族でもすぐに分からない。救急隊員に必要な情報がすぐに伝えられたので、搬送も早かった」

 女性は「京都救急医療情報キットを作る会」を設立。キットの作り方や医療情報を書き込む用紙、冷蔵庫に貼るシールのデータをホームページで公開している。「自治会や高齢者サロンなどいろいろな団体から問い合わせがある。数百円ほどで作れるので、ぜひ活用してほしい」と呼び掛けている。

 消防庁によると、一五年の救急出動件数は全国で六百五万四千八百件余り。十年前と比べて15%増え、過去最多となった。

 岡本教授は「健康に自信のある人でも急に倒れる可能性はある」と健康な若い人にもキットを備えるよう呼び掛ける。「持病などがなくても、過去にかかった病気や血圧などの健康に関する情報をまとめておくと便利。いざというときに備えて、キットを保管しておいてほしい」と話した。

 (河野紀子)

 

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