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女性活躍と言われても… 竹信三恵子・和光大教授に聞く

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 企業の女性登用を盛り込んだ女性活躍推進法が昨年四月に施行されたが、何かが変わったという実感はない。女性の社会での活躍を阻む障壁は何か。女性の労働問題に詳しい元朝日新聞記者で和光大教授の竹信三恵子さんに話を聞いた。

 −昨年四月に女性活躍推進法が施行されました。女性の働き方は変わりましたか。

 「女性に活躍してほしいとか、女性を活用することはいいことなんだと思う人が増えてきたのは良かったと思います。問題は、女性の活用ばかりが注目された点です。活躍できる女性はいいが、活躍できない女性はダメだという風潮になり、みんな必死に活躍しようとする。根性でやれとか、身を削って働けとか。これって疲れますよね」

 「女性たちは、今のままでは子どもを育てながら仕事を続けるのは難しいと悲鳴を上げています。子どもがいるのに、男性と同じだけ働くことを求められては勝負にならない。まず男性の働き方を変える必要があります」

 −具体的に何を変えるべきでしょうか。

 「長時間労働です。男性も子どもがいる女性なみの働き方をし、家庭での時間を大切にする社会にするべきです。仕事と仕事の間に一定期間の休息を義務付ける勤務間インターバル規制を取り入れた上で、仕事は八時間を大原則とし、年間通じた総労働時間も決めて三重の規制をかける必要があります。そうなれば女性は男性と同じ労働時間の中で仕事の成果を出せる」

 「今は長時間労働が当たり前だから、長く働けるおじさんが有利。だからおじさんが選んだ、おじさん好みの女性がキャリアアップしていく仕組みになっています。でもそれって、おじさんが選んだ人たちだからおじさんたちのためにしか働かないですよね。働き方を見直して、会社で意思決定できる地位の女性を増やす必要があります」

 −同一労働同一賃金の実現に向け、昨年十二月に政府がガイドラインをまとめました。非正規雇用の待遇改善が狙いとされています。働く女性の追い風となりますか。

 「ガイドラインには基本給を能力や業績、成果に応じて認めるとしましたが、それはつまり、会社の恣意(しい)で決めるということ。会社が貢献していないと判断すれば、労働者がやっていますと言っても抗弁できない。賞与も会社への貢献が判断基準になりますが、これは結局、会社の裁量を極大化させてしまう恐れがあり、懸念しています」

 −竹信さんにとって女性活躍の障壁は何ですか。

 「仲間がいないことです。古いと思われるかもしれませんが、やはり女性のネットワークは重要です。一人だと誰かと意見がぶつかると、精神的にめげてしまい、がんばれなくなる。でも仲間がいると違います」

 「ほかの会社の人も巻き込んで女性のネットワークをつくり、声を上げる時は応援してもらう。仕事もして、子どももいて、これ以上は無理と思うかもしれないけど、何とか頑張ってほしい。ネットワークがあれば、政治に女性が働きやすい社会の仕組みをつくるよう圧力をかけることも可能です。待っていても社会は変わらない。女性たち自身が動くことも大切です」

 (片山由紀)

 <たけのぶ・みえこ> 1953年、東京生まれ。ジャーナリスト。76年、朝日新聞社に入社。編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2009年に貧困ジャーナリズム大賞受賞。11年3月に退社後、和光大現代人間学部教授。主な著書に「ルポ賃金差別」(ちくま新書)「家事労働ハラスメント」(岩波新書)など。

 

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