中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし・健康 > 暮らし一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

人生の岐路に立つわが子へ贈る言葉(上) 不本意な受験結果

2010年2月9日

写真

 受験シーズン本番。保護者が思い悩むのは、失敗して落ち込むわが子にかける言葉だ。人生の岐路に立つ子に、親としてどんな言葉を贈ろうか。子どもの心をよく知る人たちに、心の糧になる言葉がけのポイントを聞いた。 (井上圭子)

 「まずは気持ちを吐き出させる。悔しさや悲しさでいっぱいの心に言葉は入らない」

 元公立小学校教員でメールマガジン「親力で決まる子供の将来」の発行人、親野智可等さんはこう話す。泣きたい子は泣かせ、一人静かにしたい子はそっと見守り、遊園地ではしゃぎたい子は発散させる。

 「落ち着いたら『寒さに震えた者ほど太陽の暖かさを感じる』など、気持ちを楽にする言葉を親の挫折経験を交えて伝える」

 うまく言葉に表現できないときは、「詩や小説などの言葉を贈るのもいい」と親野さんは話す=表。言葉を紡ぐプロたちの力を借りよう。

 シード権を失う危機的状況からチームを立て直し、昨年の箱根駅伝で東洋大学を総合優勝に導いた同大陸上競技部の元監督、川嶋伸次さんは「失敗は宝物」と語る。「その経験から見えてくるものがある。後に生きてくる」と力を込める。

 失敗を宝物にするには、子どもの悔しさを受け止め共感することが必要だ。選手時代、不本意な結果への悔しさをぶつけた監督から追い打ちをかけられ、悲しい思いをした。

 「一緒に闘ってきた親も悔しいだろうが、子どもに当たってはだめ。『あなたの方が何十倍もつらいよね』と声をかけて」と話す。

 「子どもを伸ばす共育コーチング」の著者で国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチの石川尚子さんは「答えは本人の心の中にある」という。「何かしてあげなくちゃ、という気持ちを脇に置く」と提案。「励ましても本人はうっとうしいだけ。失敗の理由や志望校以外の進学へ本人が納得するまで待つ姿勢が大切」

 保護者としても「第一志望校以外に進学することになっても、『きっと何か意味がある』などとおおらかに構え、失敗や挫折ととらないでほしい」と助言する。

 千葉県の公立中学校で教育カウンセラーを務める明治大学の諸富祥彦教授(教育学)は「子どもが自分の気持ちを一生懸命整理していくのを、親が邪魔してはいけない」と石川さんと同意見だ。

 保護者が悲観的になることもよくない。子はそれを察知し、挫折感を引きずりがちになる。不本意なまま第四志望校に進学して不登校になり、公立中に転校した末に「なぜ自分がこんな所に」と心がねじれてしまうケースもあったという。

 各氏に共通するのは、子どもの悔しさや不安に「共感」しながら、まず「静観」すること。子どもの自立心や問題に立ち向かう力を信じて待つ姿勢が、保護者には求められている。

 

この記事を印刷する

広告
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ