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【健康】

重症化サイン見逃さず 子どもに多発インフル脳症

2009年11月6日

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 新型インフルエンザの感染が拡大する中、小児を中心にインフルエンザ脳症による入院患者が目立って増えてきた。年齢は五〜十歳が中心で、けいれんが少ないなど新型特有の傾向も分かってきた。また重症肺炎による入院も多く、小さい子どものいる家庭では、重症化のサインを見逃さず、早期に適切な対応をとることが求められる。 (福沢英里)

 インフルエンザ脳症の重症化が問題となり、大流行したのは一九九八年。五百人の報告があった。その後年間百〜二百人が発症しているといわれる。日本小児科学会新型インフルエンザ対策室長を務める森島恒雄岡山大教授は「今シーズンは、大流行した九八年の状況と似ている。三百例を超えるのではないか」と心配する。

 季節性の患者は、五歳以下の子どもが大半を占めたが、新型では今のところ、五歳以上十歳未満の子どもが多くを占める=グラフ。ただし感染拡大とともに、三、四歳と低年齢の発症も確認され、乳幼児も油断はできない。

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 インフルエンザ脳症は、ウイルスが直接脳に入って炎症を起こすわけではなく、インフルエンザに感染することで脳が腫れて圧力が高まり、脳の機能低下によって意識障害などを起こす。

 原因は明らかになっていないが、ウイルスなどの外敵から身を守るため、攻撃の指令を出す「サイトカイン」と呼ばれる物質が体内に過剰に分泌され、血管や臓器の細胞をも傷つけてしまい、脳でも同じような現象が起こると考えられている。また欧米での報告はあまりなく、日本人特有の症状ともいわれ「サイトカインの働きを抑える力が遺伝的に弱いのではないか」(森島教授)とみる。

 インフルエンザ脳症が疑われる初期症状として、意識障害、けいれん、異常言動や行動の三つが挙げられる。ぼーっとして呼び掛けに応えない、視線が合わないといった意識障害が長く続く場合は要注意。けいれんも十五分以内に治まる単純型と、長く続き、繰り返し起こる複雑型とあるが、「けいれんを経験したことのない子どもなら五分でも長い方。早めの受診を」とアドバイスする。ただし「新型は、最初の症状として、けいれんが少ないようだ」と森島教授は指摘。現在、対策室で季節性との違いや治療法について検討している。

 異常言動や行動の例は、九月に改訂版が出されたばかりの厚生労働省研究班による「インフルエンザ脳症ガイドライン」に詳細に記載された=表。意識障害にけいれんといったように、複数の症状が一度に表れるようならより注意が必要。インフルエンザというと四〇度近い高熱を想像するが、三八度前後の熱でも注意が必要という。

 ステロイドやガンマグロブリン大量投与といった治療法が効果を挙げ、かつて30%ともいわれた致死率は8%まで改善した。しかし、まひや知的障害などの後遺症が25%ほど出る。「ボルタレン」「ポンタール」「アスピリン」などの解熱剤は予後を悪化させる。自宅に使い残しがあっても使わず、かかりつけ医に相談する。小児科学会では「アセトアミノフェン」を推奨している。

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 一方、新型インフルエンザウイルスは肺で増殖しやすいことも分かってきた。季節性ではほとんどみられないウイルス性肺炎によって、発熱から短時間で呼吸障害が進み、酸素投与を必要とする重症肺炎の症例が続々と小児科学会に報告されている。「肩で息をする」「ぜいぜいという呼吸」「息苦しそう」といった症状がみられたら、肺炎を疑う。

 同学会に報告された小児の重症例のうち、三分の二は基礎疾患のない健康な子ども。同学会は先月末、健康な子どもへのワクチン接種の早期実施を厚労省に要望した。

 

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