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中日懇話会

第521回 北非核化 外交力生かせ 元外務次官・薮中氏

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 第521回中日懇話会(中日新聞社主宰)が9日、名古屋市内のホテルであり、元外務次官でアジア大洋州局長などを歴任した立命館大客員教授の薮中三十二(みとじ)氏(70)が「激動の東アジア情勢と日本外交の課題」と題して講演した。6月の米朝首脳会談後の日本の役割について「六者(日米中ロ朝韓)の閣僚協議を提唱するべきだ」と述べ、非核化や拉致問題解決に向けた取り組みの必要性を強調した。講演要旨は次の通り。

 【トランプ時代の世界】

 戦後70年余、米国が中核となってきた北大西洋条約機構(NATO)などの同盟関係や自由貿易を目指す世界貿易機関(WTO)の枠組みが一定の平和、繁栄を築いてきた。しかし、トランプ大統領の時代になって、当たり前だと考えられてきた世界のシステムが崩れてきている。

 トランプ氏は各国のリーダーとの個人的な関係に重きを置き、同盟関係を重視しない。自国の貿易赤字を「悪」として貿易戦争も辞さない姿勢。世界が軍事拡張の流れになっていることも心配だ。トランプ氏の大統領再選もあるかもしれない。原理原則が通じない相手だが、日本を狙って自動車関税が引き上げられたりすれば、安倍晋三首相にもしっかりと意見を言っていただきたい。

 【北朝鮮情勢】

 6月12日の米朝首脳会談は歴史的な出来事ではあったが、北朝鮮に「利」があった。共同声明では非核化について「努力する」などと書かれ、かなり甘い印象。何をいつまでとはっきり書くべきだった。米朝は今後、閣僚折衝に入るだろうが、日本は核問題の当事者であり、この中に入っていかなければならない。トランプ氏はミサイルが米国本土に届かなければ良いと考えているが、日本は射程圏内で安全が脅かされたまま。拉致問題も解決されなければ経済協力などはできない。

 【東アジアの中の日本】

 中国とどう向き合うかが重要になる。中国は信用できないという人も多いが、欧州は中国が経済世界一になると見ており、世界の見方も念頭に置く必要がある。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にとって最も信頼できる国は中国や米国でもなく日本。ASEANとの連帯が外交のバックボーンだ。日本には相当の経済力、外交力がある。平和に向けて、日米同盟を堅持しつつ、中国と協調し、韓国とも連携していくことが日本の針路だ。

 

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