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中日懇話会

第519回 階級格差社会崩壊招く 早大・橋本健二教授

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 第519回中日懇話会(中日新聞社主宰)が26日、名古屋市内のホテルであり「階級社会 現代日本の格差を問う」などの著書がある早稲田大の橋本健二教授(格差社会論)が「新・日本の階級社会−格差をいかに縮小するか−」をテーマに講演した。所得の低い非正規雇用労働者などの「アンダークラス」への支援の必要性を訴え「格差は日本の存続に関わる問題。政治的対立を超えて向き合わないと、日本は崩壊する」と警鐘を鳴らした。講演要旨は次の通り。

 【新たな階級】潜在化していた格差が、バブル崩壊で表面化した。「格差社会」が2006年の流行語になり、今では現代社会を語る言葉として定着した。これまでの社会は、経営者などの「資本家階級」、自営業者などの「旧中間階級」、サラリーマンなどの「新中間階級」、販売職や単純事務職などの「労働者階級」の、4階級に分けられた。だが最近は労働者階級の中で、正規と非正規で大きな差が生まれた。非正規雇用労働者を「アンダークラス」と呼び、5つ目の階級と見るべきだろう。

 【アンダークラスの特徴】各種データを見ると、アンダークラスの3分の2は未婚男性。無職の時期があったり、学校でいじめられた経験があったりすると、転落しやすい。他の階級に比べ、うつ病など、健康状態に不安を持つ人や、家族や友達がいないなど、社会的に孤立している人が多い。この層の増加は社会全体に弊害を及ぼす。生活保護費や医療費が増大したり、社会への敵意から公共心や連帯感が喪失されたりすることなどが懸念されるからだ。

 【対策実現の困難さ】打つ手はいくつかある。一つは労働時間を減らし、その分、正規雇用の人数を増やすこと。すると非正規雇用の市場が逼迫(ひっぱく)し、非正規雇用労働者の賃金も増える。もっと生活保護制度を活用できるように、受給者に100万円程度の預金を認めるなどの制度改正をしたり、最低賃金を引き上げたりすることも必要だ。ただ、こうした政策の実現は難しいだろう。自民党支持者の多くは格差を容認しており、自民党と、格差解消を掲げる他党との間で政治的な争点となるからだ。自民党はかつて、大企業の富裕層から地方の零細企業まで、包括的に支持を得ていた。最近は富裕層に傾いているが、日本の危機を解消するには、もっと貧困層に軸足を寄せるべきだ。

 

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