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中日懇話会

第517回 自動運転EV 注目を 名城大・吉野教授講演

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 第517回中日懇話会(中日新聞社主宰)が3日、名古屋市内のホテルであり、リチウムイオン電池開発者でノーベル賞の有力候補と期待される吉野彰・名城大教授(70)が「リチウムイオン電池が拓(ひら)く未来と開発秘話」と題して講演した。パソコンやスマートフォンだけでなく電気自動車(EV)にも使われるリチウムイオン電池。開発経緯や苦労を振り返り、「マイカーは自動運転EVに切り替わっていくだろう。注目すべきだ」と語った。

 【EVでさらに需要増】

 充電可能で出力が大きく、長く使うことができるリチウムイオン二次電池(LIB)の開発を始めたのは1981年。85年に実用的LIBを開発、91年に販売が始まった。

 当初の利用用途は、携帯用ビデオカメラ。その後、携帯電話やノートパソコンなどに用途が急拡大。2015年以降、EV向け需要が急激に伸びてきた。多くの国が自動車の排出ガス規制でEVを後押ししており、25年には新車販売台数の15%がEVになると予測されている。

 【ポリアセチレンを電池の材料に】

 最初から電池開発を目指して研究を始めたのではない。当時、白川英樹・筑波大名誉教授=ノーベル化学賞受賞=が開発した電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」が注目を集めており、活用方法を模索していた。私たちはポリアセチレンの電気的、化学的特性に注目。電池の負極として利用できるのではと考えた。そして組み合わせ可能な正極材料を模索し、「コバルト酸リチウム」に行き着いた。試行錯誤を重ね、LIBの原型を開発した。

 だがポリアセチレンは密度が小さく、かさばるので原理的に小型化は不可能だった。そこで代わる材料を探し、カーボン(炭素)素材を使って実用的なLIBを開発。安全面や量産化についての課題をクリアし、事業化に成功した。

 【今は革命前夜】

 25年以降、現在の自動車は、人工知能(AI)技術による無人自動運転機能を持つEVに切り替わっていくだろう。個人がマイカーを所有せず、スマホで必要なときに車を呼び出す。地球環境への貢献、交通事故や渋滞の削減など社会的なメリットが大きいことに加え、個人の経済的なメリットも大きい。

 現在は、95年に始まったIT革命の前夜に近い状況だと思う。25年が、世界が変わっていく大きな節目になる気がする。

 

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