トップ > 中日懇話会 > 懇話会一覧 > 記事

ここから本文

中日懇話会

第515回 対ロ関係 日本に好機 法政大の下斗米教授

写真

 第515回中日懇話会(中日新聞社主宰)が27日、名古屋市内のホテルであり、法政大教授でロシア政治や冷戦史が専門の下斗米(しもとまい)伸夫さん(69)が「プーチン政権と日ロ関係の行方−大統領選を前に」と題して講演した。3月18日のロシア大統領選でプーチン氏の再選が確実視される中、「日ロ関係や東アジア関係は、これから非常にダイナミックに変わってくる」と指摘した。講演要旨は次の通り。

 【日ロ関係】

 2014年のクリミア半島併合後、日本にとってはチャンスが出てきている。ロシアにとってクリミア半島は非常に重要な土地。日本にとっても1945年にクリミアのヤルタで米英ソの3首脳が会談し、樺太(サハリン)の南半分をソ連に返還する密約が交わされるなど、国境線の画定という点で重要な場所だ。

 今、ロシアが抱える国境問題は2つしかない。北方領土を含む地域とクリミアだ。以前は日本との関係しかなかったが、ウクライナとの間にクリミア問題を抱えることになった。

 日本とロシアが平和条約で国境線を固めれば、ロシアにとってもプラスになる。少なくとも安全保障上、中国に対する重要な影響を及ぼすことができるからだ。中東情勢が不安定化する中、日本にとってはエネルギーに関しロシアと相互依存の関係になる。

 一方、日ロ関係にとって中国への対応は大きな課題だ。ロシアは中国が大きな競争相手だが、対立するつもりはない。プーチン氏はこれまで、日ロ関係だけがあまりにも弱かったと考えている節がある。ロシアからすれば、日ロ関係の改善が対中関係にもいい方向に影響するとみている。

 【世界の多極化】

 18年は本格的な多極化世界になる。戦後、米ソの二極対立構造という時代があった。ソ連崩壊という予想外の転換を多くの人が見た後、金融や軍事安全保障、情報のいかなる点でも、米国が「民主主義」というキーワードで世界を変える大きな力になった。

 米国の一極集中になったが、いま考えると、ソチ五輪があった14年が分水嶺(れい)だったのかもしれない。米国と中国の国内総生産(GDP)がほぼ拮抗(きっこう)するようになり、米国がシェールガス革命で、中東に依存する必要がなくなった年としても記憶される。

 それまで2割の原油が中東で産出されていたが、米国は孤立してもやっていけることになった。

 国際政治全体を考えると、米国とロシア、中国も、核問題を中心にきちんとした国際関係をつくり直さないといけない。世界は核を軸に3つの大国が競争する時代になった。大国が戦略的に関係をつくるべき枠の中に、核開発を進める北朝鮮が4番目の国として入ることは許されない。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索