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中日懇話会

第514回 地域ごとの地方創生を 早大院・片山教授講演

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 第514回中日懇話会(中日新聞社主宰)が25日、名古屋市内のホテルであり、地方自治などが専門の早稲田大大学院の片山善博教授(66)が「日本の政治を診る−国政の課題と地方の視点」と題して、地方創生や憲法改正などの問題を講演。「国に頼るのではなく、地域に何が必要なのか自ら考えて」と訴えた。講演要旨は次の通り。

 【地方創生は地方を再生するか】

 安倍晋三首相はよく「国難」という言葉を使うが、地方創生こそ国難ではないのか。人口は東京に一極集中し、愛知、大阪など大都市を除いて地方は人口減少に苦しんでいる。経済学では、利益を生まない価格競争を繰り返す既存市場のことを血みどろの海に見立てた「レッドオーシャン」と表現する。今、地方の自治体はまさにレッドオーシャンにいるのではないか。

 身近な例が「ふるさと納税」だ。全国の自治体が過剰なまでの返礼品を競い、PRに明け暮れているが、国内の人口が減少し、全体のパイが減る中、自治体間でふるさと納税を奪い合う競争に果たして意味があるのか。勝者がどんどん減るいす取りゲームのようで、不毛だ。国の政策を一律に地方にあまねく当てはめるのは、まるで各自が違う病気を抱えているのに、1つの治療薬を処方されているようなもの。これでは病気は根治しないだろう。それぞれの地域にどんな問題があるかを各自で考え、解決策を考える必要がある。安倍首相も「地方創生」という着眼点は良かったが、これといった成果はない。

 【憲法改正と地方】

 今後、憲法改正が国会でも議論になり、国民投票も現実味を帯びてくる。最近は「何でもいいからとにかく改正を」という空気を感じるが、それは違う。憲法は国の根幹であり、立憲主義に基づいている。憲法とは権力者を縛るものであり、条文を改正することは元来、難しいのだ。近代前の王政だけでなく、現代の民主主義国家でも権力者は暴走する可能性は十分にある。「不磨の大典」のように憲法改正は必要ないという立場もあるが、私が改正を考える観点は「条文に致命的な欠陥があるか」にある。そうでなければ、法律の整備で対応できるからだ。

 九条に関しても、これまでの解釈で自衛のための実力行使はできることになっている。それよりも、私が気になるのは、人口減少で村長や村議のなり手がいないといった過疎の自治体の運営をどうするのかといった地方自治の問題だ。憲法改正というのであれば、今後の選挙のあり方など、地方自治の観点から議論が始まると考えている。

 

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