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中日懇話会

第513回 2%インフレ達成遠く 東短リサーチ・加藤氏

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 第513回中日懇話会(中日新聞社主宰)が15日、名古屋市内のホテルで開かれ、調査会社、東短リサーチのチーフエコノミスト、加藤出(いづる)さん(52)が「2018年の世界経済と異次元金融緩和の出口」をテーマに講演した。経済刺激策として大規模な金融緩和を続ける日銀の姿勢に対し「2%のインフレ(物価上昇率)達成は遠く、出口はまだ見えない」と先行きの不透明感を指摘した。

 講演の要旨は次の通り。

 【好調時に改善を】

 現在の世界経済は、ユーロ圏を中心に、中国、米国も好調。日本の数字も悪くない。「天気が良い間に屋根の修理をすべきだ」とする考えがあり、経済が好調なうちに痛みを伴う改革をして、各国の課題に取り組むべきだ。わが国の場合は巨大な財政赤字による累積債務、あるいは今後の少子高齢化の中で社会保障制度をどうしていくかという課題がある。

 【超緩和策の出口】

 近年の世界的な金融緩和策にもかかわらず、インフレ率は低位で安定。米欧の中央銀行は超金融緩和策からの出口政策をゆっくりと進めている。日銀は2013年、日銀が供給するお金の量を指すマネタリーベースを「2年で2倍(260兆円)にしてインフレ率を2%に引き上げる」と宣言した。日銀は国債の買い上げを猛烈に進め、マネタリーベースは470兆円になったが、インフレ目標達成は遠い。日銀の予想は大幅な下方修正が相次ぐ。

 【ポスト黒田】

 来年春に日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁の任期がくる。現状は安倍晋三首相の信任が厚く、続投が濃厚。黒田さんはこのごろ、金利を下げ過ぎると金融機関をつぶす可能性があると低金利の弊害に言及するようになった。もし、もっと積極的に緩和しろという人になった場合は、地方金融機関の経営問題がクローズアップされる可能性もある。

 【痛み止め】

 アベノミクスの下で日銀は金利を低く抑え込んでおり、日本は膨大な借金があるが、国債金利の低さは世界有数。金利が高いと政府は一般会計の多くを利払いに取られるが、現在はそうなっておらず、「痛み止め」が効いている。世界の中央銀行が超緩和策で時間稼ぎをしている間、政府・議会が痛み止め効果に甘えて構造改革を遅らせてしまったら時間の浪費だ。日本は、日銀の金融緩和策に依存せず、人口減少や医療費問題への対処が必要だ。

 

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