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中日懇話会

第512回 日本もファンドの標的に 作家・黒木亮さん講演

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 第512回中日懇話会(中日新聞社主宰)が29日、名古屋市内のホテルで開かれ、作家の黒木亮さん(60)、北海道出身・英国在住=が「国家を食いものにするハイエナファンド」をテーマに講演した。途上国の国債を安く買って巨額の利益を得ようとするヘッジファンドの実態を説明し「日本が狙われることもそう遠い未来ではない」と警鐘を鳴らした。

 講演要旨は次の通り。

 【ファンドの狙い】

 海外には、債務返済に問題のある国家の国債を二束三文で買い入れ、額面かそれ以上の返済を債務相手国に求めて訴訟を起こすヘッジファンドがある。多くはアフリカや南米など腐敗や野放図な借り入れで問題のある途上国が狙われる。こうしたファンドは法律の範囲内であらゆる手を使って勝訴し、資産を差し押さえるなどして投資額の10倍や20倍もの利益をあげる。国家を食いものにするハイエナのようなファンドだ。

 【不利益は国民に】

 こうした事実はあまり報道されないが、コンゴ共和国と米ファンドとの対立を雑誌記事で読んで興味を持った。同国は、租税回避地に設立した会社を介して石油輸出することで輸出の実態を隠し、代金を大統領周辺が懐に入れていた。債務返済を求めたファンド側は石油タンカーを差し押さえるなどして回収。これに対して大統領はファンドを「ハゲタカ」「凶悪盗賊団」などとののしったが、腐敗した国家で食いものにされるのはいつも国民。国民の利益を守るために活動する国際非政府組織(NGO)もあり、国家、ヘッジファンドと三つどもえの闘いを繰り広げている。

 【長期戦】

 私は金融機関や商社での勤務経験を生かし、国際金融を舞台にした小説を書いており、近著ではこのコンゴ共和国の案件を題材とした。他にも南米ペルーやアフリカのザンビア、リベリアなどの事例も事実に基づいて書いた。例えば2001年に債務不履行となったアルゼンチンは、15年にわたって米ファンドと闘った。15年に発足した新政権が経済再建と外貨調達を優先し支払いに応じたが、米ファンドは投資額の12倍のリターンを得た。

 【日本への教訓】

 似たようなことは日本で起きている。債権回収会社は銀行が投げ出した債権を買って全額回収にかかる。国内ファンドは力をつけており、米ファンドも日本に上陸してくるだろう。海外事例を教訓にすべきだ。

 

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